三十九 ページ41
沖田.side
『……貴方が､苦しそうだった｡こんなに沢山幸せに囲まれてるのに､悲しそうだった｡まるで……』
沖田「……俺が何なんでぃ」
『…………まるで……家族を目の前で亡くしたみたいな…』
アイツは､少しだけ言葉を切りながら口を動かした｡
気遣っているつもりなのだろうか｡
しかし､無表情過ぎて､普通の奴相手だと間違いなく反感を買うだろう｡
……やっぱテメェ､心ねぇわ｡
沖田「…………家族を亡くした"みたい"じゃねぇ｡本当に亡くした」
『……そう…病気？』
沖田「………結核だ」
『……そう｡優しい人だったみたい』
沖田「！？何でテメェが分かるんでぃ！」
『……貴方が､そうだから』
………俺が…？
……俺が､姉上みてぇに「優しい」……？
思わず､月に向けていた視線を顔ごとアイツに向けた｡
しかしアイツは月を向いたままで､そしてやはり無表情だ｡
無表情だから､何が言いたいか分からねぇ｡
……分からねぇ筈なのに……
何でこんなに優しく見える…？
『……私も家族は無くした｡だけど､貴方みたいにそこまで悲しいとも苦しいとも思わない｡そう思えてる貴方は､優しいんだと思う｡だから､その貴方を育てたその人は優しい人』
沖田「………テメェに､心がねぇだけでさぁ…普通はこうなるんでぃ…」
『……そう』
アイツは､酒をちろりと舐めた｡
………そうか……
そういや､コイツも両親なくしてんだな…
……じゃあ､何で………
沖田「…………何で､テメェは悲しくねぇんだよ」
頭の中で渦巻く疑問が､口をついて出た｡
『……？悲しくないから､悲しくない』
沖田「そうじゃねぇ」
『……？』
アイツの顔が､ゆっくりと俺の方を向く｡
その仕草はまるで､俺の質問に戸惑っているようだ｡
恐らくコイツは､本当に心の底から悲しくないから悲しくないのだろう｡
だが……
仮にも親を殺されて､何故"悲しく"ねぇんだ｡
『…………分からないし､悲しくない……貴方は何故悲しいの？』
沖田「！お､れは……姉上に､ずっと面倒を見て貰ってたから…」
『……それだけなのに､悲しいの？』
沖田「っ！？それだけっ！？！」
酒が溢れるのを無視して､アイツの胸ぐらを掴み上げた｡
俺の中のキレた音と､コップが落ちて割れた音が重なる｡
ボロいアイツの服が､ﾋﾞﾘｯと小さく悲鳴をあげた｡
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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黒鴉(プロフ) - 遅れてしまい申し訳ありません。有難うございます、どうか首をキリンより長くして待っていてください。どうにかそれに見会う作品になるよう頑張ります！ (2020年7月7日 19時) (
レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
就村 隆成(プロフ) - 続き楽しみにしてますね〜 (2020年6月10日 23時) (レス) id: 67a11675bd (このIDを非表示/違反報告)
kansei(プロフ) - みづきさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません……。素晴らしいなんてそんな…駄作ではございますが、これからも宜しくお願い致します！ (2019年10月4日 17時) (レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
kansei(プロフ) - 亜蘭さん» 遅くなってしまい申し訳ありません……。ですよね、真選組全員カッコいいですよね！これからも応援宜しくお願い致します (2019年10月4日 17時) (レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - なんなんですかこの素晴らしい作品は…。続き気になります！頑張ってください！ (2019年9月30日 18時) (レス) id: 05a7ae8b8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒鴉 | 作成日時：2019年6月10日 12時
