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三十六 ページ38

私の産まれた家は、鬼族でも有数の名家だった。
例えるなら、人間で言うところの将軍家。
……うん。
本当に、凄い名家だった。
私は、そんな家に産まれた一人娘。
鬼族にも人間みたいに、長男が一番っていう風習がある。
でも、私の親はそんなこと気にしなかった。
産まれた子だから、最大限の教育をする……
いつかに聞いた時の答えがそれ。
…うん、いい親。
………でも正直、それが愛する故かは分からない。
愛と取るには、厳しすぎる気がしたから。
名家の娘だから、あれが当たり前なのかもしれないけど…
親から何かして貰った記憶は、あまり無い。
そもそも、親は立場があるから忙しくて、時間なんて無かった…
だから親よりも、師匠の方が関わりが深かった。
親が私の教育を頼んでくれた、凄く強い鬼神。
産まれてからずっと、勉強も体術も、何もかもあの人に教わった。
早朝から夜遅くまでみっちりと…
………でも、ずっとと言える程、「ずっと」では無かった…
師匠も他の仕事が忙しくて、大体は自主練。
兄弟姉妹もいないし、他の家の人と関わる時間は無かった。
……だから、いつでも家に一人でいた。
「あの」出来事が起きたのは、初めて両親が祭りに連れていってやると言ってくれた、とある夏の日だった。
ある人は家族と…
ある人は友人と、
ある人は恋人と、
いずれにせよ、誰もが楽しみにしている日だった。
……私がまだ、五歳の時だった。
鬼族が一つ歳を取るには、約十年かかる。
年数で見れば、五十年で確かに長いかもしれない。
……だけど、私は五歳だった。
結局は、人間の五歳みたいなもの。
たった五歳の子供に、何かできる?
………できない……
私は、
燃える町を
燃える家を
燃える同士を
燃える母を
燃える父を
燃える師匠を、
ただ見つめることしかできなかった。
建物が灰になる音を
少しずつ消えていく足音を
愛しい人の名を叫ぶ声を
耳をつんざく悲鳴を
肉が切り裂かれる音を
人間の汚い笑い声を、
ただ聞くことしかできなかった。
漂う腐敗臭に
無くなった町に
舞い散る灰に
弱い自分に
血を抜かれた亡骸に
それを作った人間に、
ただ嫌悪感を抱くことしかできなかった。
………殺さないと………
動かない脳ではなく、はち切れそうな心が命令した。
それからは、何も覚えていないくらい修行した。
絶対にあの人間どもを殺す殺す殺す殺す殺す。
その事しか、考えなかった。
その事しか、考えられなかった。
……そして、一ヶ月前……
殺ってみると、困惑するくらい人間は弱かった。
何故鬼族が滅んだのか分からなくなるくらい、弱かった…
そして、今ここにいる。

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黒鴉(プロフ) - 遅れてしまい申し訳ありません。有難うございます、どうか首をキリンより長くして待っていてください。どうにかそれに見会う作品になるよう頑張ります! (2020年7月7日 19時) (レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
就村 隆成(プロフ) - 続き楽しみにしてますね〜 (2020年6月10日 23時) (レス) id: 67a11675bd (このIDを非表示/違反報告)
kansei(プロフ) - みづきさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません……。素晴らしいなんてそんな…駄作ではございますが、これからも宜しくお願い致します! (2019年10月4日 17時) (レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
kansei(プロフ) - 亜蘭さん» 遅くなってしまい申し訳ありません……。ですよね、真選組全員カッコいいですよね!これからも応援宜しくお願い致します (2019年10月4日 17時) (レス) id: 30a687a706 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - なんなんですかこの素晴らしい作品は…。続き気になります!頑張ってください! (2019年9月30日 18時) (レス) id: 05a7ae8b8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒鴉 | 作成日時:2019年6月10日 12時

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