関西家族物語。2

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そして、早朝……まだ暗い中、旦那がセットした目覚ましで起きました。


｢ん……おはよ｣


｢おはよ。どっちがいい？｣


｢崇裕に決まっとるやろ。｣


｢だよねぇ……じゃんけんで。じゃんけんポンッ！｣


まだ眠い中、不意打ちをついたのに、旦那はなんとチョキを出しやがりました。


……言葉遣いが乱れましたが、要するに、私が負けた、ということです。


｢俺に勝とうなんざ100年早いわ｣


｢うるさ。｣




仕方ないので、隣で気持ちよさそうに眠っている恐竜を揺さぶります。
旦那は、早々に子供部屋へ逃げていきました。


｢のんちゃーん。のぞむー。起きてー。｣


予想通りというかなんというか、びくともしません。


｢のぞむさーん？釣り行くんでしょ？｣


｢んんん……｣


｢のんちゃん？今起きないと置いてかれるよ？｣


｢……｣


｢いいの？行かないの？｣


｢ん……｣


｢え？行かないの？｣


｢んん……｣


声ではわからないですが、一応、首は縦に振っている、ように見えます。


｢のんちゃん？ほんとにいいのね？行かないのね？｣


｢んん……行かへん｣


｢あとで行きたかったって怒っても知らないよ？｣


｢いい……｣


｢ほんとに？｣


｢いいの！寝る！｣


はい、言質とれました。
きっと、起きてから怒るでしょうが、もうここまでいわれたら起こす気にもなりません。


｢わかった。おやすみ。｣


結局、私一人でリビングへ行くことになりました。




｢あれ、望は？｣


｢一応、言質とった。行かへん！ってはっきり言ったから、諦めた。｣


｢うわ、あとで怒るやつやん。｣


｢間違いない。｣


そんな話を夫婦でしていると、顔を洗った崇裕もリビングにきました。


｢あれ、のんすけは？｣



｢眠いから行かないって。｣


｢えー、ほんまにぃ？釣りの楽しさに目覚めるかと思ったんにぃ。｣


あら、意外。本気で望もつれていきたかったみたいです。


｢ええやん二人で。望おったらうるさいし待てへんでぇ。もうちょっと大きくなってからやな。｣


｢それもそうやな。｣




結局、二人が出発する前にもう一度望を起こそうと試みましたが、やっぱりダメそうでした。


｢居眠り運転気を付けてねー。｣


｢コーヒーのみながら行くわ。いってきます。｣


｢いってきますっ！｣


｢はーい、いってらっしゃい。｣


こうして、まだ陽がのぼる前に、二人は出掛けていきました。

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