夜雨対牀 ページ15
意識が朦朧とする。
耳元からは「お連れしろ」「守れ」という男たちの声が、遠くから聞こえる。
最後に、羌瘣と信が必死に自分の名前を呼ぶ声が、耳から離れなかった。
真夜中、敗走する飛信隊や第4軍団の兵士達。
その中でただ一人、この山脈の道がどう繋がってるか全て把握しているかのように、馬を走らせる老人がいた…。
その胸に抱かれ、Aは一番会いたい人物の元へ連れて行かれていた。
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本陣・朱一族の天幕へと
Aを運ぶ祖父・朱龍。
一族の者は、彼女の怪我の様子を見てすぐに秘薬を作り、治療の準備を始めた。
アダム 「…やっぱりついてきちゃってたね。」
朱龍 「…………」
天幕の中の明かりがくすぶる中、
外でひたすら孫娘の無事を祈って待つ二人。
アダムという少年は、山の民のような牛を模した仮面を被り、その赤髪を陽気に揺らす。
彼は朱一族と、山の民の間に出来た子どもで離れて育ったが年はAと同じくらいだった。
一族を率いていた朱龍の右腕として、腕は立つ。
しばらく経つと、治療していた者が朱龍に耳打ちをした。
アダム 「それで!姫さん無事なの?!
…こんな所で死ぬタマじゃないと思うけど」
朱龍 「骨が数本折れてるが、命に別状はない。
…このまま、ここで休ませる」
そう言って立ち上がった瞬間、
背後に山々の木々や動物達も殺気で逃げていく程…
一瞬にして空気が重くなった。
朱龍 「王騎か…」
王騎 「……ンフフ」
振り向くと、怪鳥と呼ばれる男と副将の姿が目に入る。干央からの決死の伝令で、此処にAがいると聞いて現れたのだろう。
王騎 「……………中へ入ってもよろしいですか?」
朱龍 「孫娘の命に別状はない。
無理に刺激してくれるな…。」
王騎 「今は私の娘です。…口出しは許しません」
朱龍 「勘当したのではなかったのか?」
王騎 「…………」
朱龍 「…………(素直ではないな)」
無言で天幕の中に入る王騎を見る。
あちこちと身体中に木の枝や、汚れがついてる事から、伝令が来て飛んできたのだろう…。
案外、Aの頑固さは王騎に似たのかも知れない…ともう一人の父親の背中を見守った。
朱龍 「…お前は入らないのか?」
騰 「…今は親子の大切な時間だ」
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愛羅(プロフ) - こちらこそよろしくお願いいたします。 (2020年10月2日 19時) (レス) id: 2129d10c64 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 愛羅さん» いえいえ!変なミスばっかりでお恥ずかしいです。速さだけは頑張ろうと思ってるので、よろしくお願いします! (2020年10月2日 18時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - 変更ありがとうございます。コメントして、直ぐに対応してくださったなんて、感激です。 (2020年10月2日 17時) (レス) id: 2129d10c64 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 愛羅さん» 愛羅さん。教えて頂き、ありがとうございます!さっそく修正しました。素敵と思って頂きありがとうございます。ご要望あればどしどし下さい〜! (2020年10月2日 17時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - コメント失礼致します。41ページ目の蒙恬からのプロポーズの名前変換が上手くいきませんでした。このお話の描写や、ストーリー展観等とても素晴らしいと思って、読ませていただいています。私個人の我儘なお願いではありますが、変更宜しくお願い致します。 (2020年10月2日 17時) (レス) id: 2129d10c64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年8月25日 16時