蒼色マーブル３【桃】 (ページ10)

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「今日は一段と暑いです。熱中症には十分に注意してください」

お天気お姉さんがそんなことを言うのに大きく頷きたくなるほど、暑い日だった。

とはいえ、世間的には少し気温が高いだけのその日、私は朝からソワソワしていた。

携帯で文章を打っては消し、消しては打つ。

短すぎると雑に見えるし、かといって長すぎると少しアピールが過ぎる気がする。

『ちょうどいい』という言葉を頭に浮かべながら携帯を握りしめていた。

『お誕生日おめでとう！
今度ボウリングのリベンジさせてね！
素敵な一年を』

時計の表示が23:59から0:00に変わったのを見て『送信』を押し、続けてスタンプを送る。

『しよう』じゃなくて『させて』にしたのは図々しくならないように。

でももしかしたら本当にまた行けるかもしれないという淡い期待を込めて。

返信は結構すぐ返ってきた。

『サンキュー！』
『そういえばまだチョコもらってへん』

『そう！さっき思い出したから買いに行ったー』

この文で決まりって思った時に、そういえば、と思いそのままコンビニに行った。

『やったー』
『誕プレも欲しいな～』

つい口元が緩む。ただねだられているだけなのに嬉しい。

なんとなくLINEは続いて、寝ようかとも思うのに、返信が来るかもと思うとどんどん目が冴えてくる。

1時半頃に来たLINEに返信をしたら『まだ起きてるん？』という通知が届いた。

日付が変わるくらいには寝てるっていう話をこの前電車でしたことを思い出し、それを覚えていてくれてるのかと思うと嬉しくて頬が緩むのを抑えられない。

『起きてる』

『よい子は寝なさい』

子供扱いにもきゅんとする私はおかしいのかな。

『なんか眠くないんやもん』

『俺もー』
『昼寝したから寝られへーん』

なんて返そうかな、と思っているとさっきのメッセージとは少し時間が空いて、画面にもう一つ吹き出しが出てくる。

『コンビニ行こ』

『行ってくる』ってこと？『(一緒に)行こう』ってこと？

すぐに既読をつけただろうそのメッセージの意味を少し期待して考えてみるけど、まあ十中八九前者だろう。

『いってらっしゃい』と送ると、すぐに既読がつき、『えー、一緒に行こうやー』というメッセージが届いた。

え！
そういう意味…！？

まさかの後者だったようで、鼓動が早まる。

『ええよ』と少し震える指で送った返信。

『連絡したら出てきて』

それを見て、慌てて薄いパーカーを羽織った。