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ほんまはね、二人で見れたんめっちゃ嬉しいの。夢みたいやったの。
なかなか前に進まない人混みに「人おお…」なんてのんちゃんは呟くけど、私はもっともっと進まなければええのにって思ってるの。
ずっと手繋いでたいって、思ってるの。


たくさんの言えない言葉と想いが、積み重なっていく。


どうして、こんなにきゅんとさせるの。

ただの幼馴染にこんなんなのに、彼女になれたらどうなっちゃうんだろう。


心臓が働きすぎて、早死にしちゃいそう。
あ、でもせっかく彼女になれたのに早く人生終わるなんてもったいない。意地でも生きなきゃ。


もしもの想像で口元が緩みそうになって、のんちゃんにバレないように俯く。


それでも、人が落ち着いてくれば、のんちゃんはするっと私の手を離す。

当たり前のことなのに、やっぱり悲しくて、彼女だったら、って今度は少し切ない想像をした。


.


みんな先に着いてたファミレスに到着すると「お、来た!」なんて盛り上がる。

のんちゃんが来ただけで、その場がもっと明るくなる。


「望来るなら言うといてぇや!」

空いていたソファの端に私が座って、向かいの椅子にのんちゃんが座ったところで、ユウヤが言う。


「ちゃうねん!学校の奴と遊ぶ言うてたのにドタキャンされたからぁ」

さらっと嘘をつくのんちゃん。


目の前の私と目が合って、少し含み笑いをする。

『内緒』って、目で言われた気がした。


ドキンと、胸は高まるのに

『こんな感じでさ、みんなから外れてー、二人で見てん、ユキと』

のんちゃんが行きたくないと思ってた理由を、わかってたけど、さらにもう一度突きつけられたような気がして、少し苦しくなる。


それでも、この前学校をサボった時から、なんとなくのんちゃんにとって私はそういうことを話せる存在になれたような感じもして、少し優越感もあって。


上がったり、下がったり、ジェットコースターみたいな私の感情。



しばらく集まることはなかった懐かしい面々に、話は積もる。


「久しぶりー」

隣に座ってたのは山中くん。


「久しぶり!ほんまに卒業以来会ってへんよな?」

「そうやな。俺チャリ通やから駅使わへんし」

「あぁ、そっかー」


この前のんちゃんに『好きやったやろ?』なんて聞かれたから、なんだか不思議な感覚になる。

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作者名:花音 | 作成日時:2016年7月9日 14時

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