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「……がっかりした?」


自嘲的に笑いながら悟くんを見ると、悟くんはゆっくりと横に首を振った

私は悟くんが思う程『良い人』なんかじゃない



「悟くんにこんな私を知られたくなかった…母に最期に言われた言葉も確かに切っ掛けではあるけど、実際は私が我慢できなくなっただけ…私以外が悟くんに触れること」



これは愛なんて生易しいものじゃない


傾倒、執着、狂気


…呪い



だからこれ以上一緒にいるべきではないと思った

悟くんが私を縛るのはまだしも、私が悟くんを縛るわけにはいかない



私も悟くんももう普通の愛を知るべきだ



「だから…ーーーーーー悟くん…?」


私の手を掴む悟くんの手は…小刻みに震えていた
私は驚いて下に向けていた視線を上げる

そこにはまるで蕩けんばかりに嬉々とした微笑みを浮かべる悟くん


「嬉しい…嬉しいよ、山田太一」



その恍惚とした表情を見て私は自分の考えが誤っていたのだと知る




ああ、

もう手遅れだ、と




スルリと私の肩からブランケットが滑り落ち、悟くんの片手が私の頬を撫で片手は腰を擦る

幻想的な美しい瞳が戸惑う私を映す




「誓いを立てようか、山田太一」

「だめ、だめだよ悟くん…」



言わしてはいけないと、本能で察した



「俺はたとえ死んでも山田太一以外を愛さない」

「やめて…っ」

「山田太一以外を抱かない」

「やめ…、」

「死んでも山田太一の傍にいる」



その言葉は呪いでしかなかった
私と悟くんを縛り続ける呪い

一度口に出してしまえばもう戻らない

彼が死んだ時、きっと私は彼に連れて行かれるのだろう



「どうして、そんなこと…」

「俺の全部をあげる」

「…っ」


私が欲しかった悟くんの全部
それ以上のものを悟くんは与えようとしているのだ

けじめであり、持ち得る最大級の誠意として


「だから頂戴、山田太一の全部」


揺るぎなくはっきり言う悟くん
しかし、瞳の奥には不安に揺れていた




「……手遅れだったのは…私もだったんだね」

「山田太一……?」


私の名前を呼ぶ悟くんの唇を啄むように口付けを落とす



「もう私に遠慮しないで、我慢なんてしないで。ちゃんと全部頂戴…私が死んでも悟くんは連れて行けない…、でも」



私の言わんとすることが分かったのだろう、ゆっくりとベッドに押し倒される

悟くんの瞳から不安な色は書き消え、




「悟くんが死んだら必ず私を迎えに来てね」




愛に狂ったその瞳が私だけを映していた

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- わー!めっちゃすきです! (2021年3月13日 19時) (レス) id: c890e5f159 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 舳さん» 嬉しいっ!!ありがとうございます!(´▽`) (2021年2月25日 19時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しんどい…語彙力失いましたとても好きですありがとうございますヽ(;▽;) (2021年2月24日 19時) (レス) id: 1f83f3c66d (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - かのんさん» かのんさんの欲望の塊を楽しみにしてます((( ・`ω・´)キリッ (2021年2月21日 15時) (レス) id: 27e0c87bdc (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 神無月さん» コメントありがとうございます!これからも欲望のまま書きなぐります!(o≧▽゜)o (2021年2月21日 15時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月17日 8時

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