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「何か…嫌なことがあったの…?」

「……うん」


恐る恐る尋ねるとスルリと頬を撫でられる

その手付きがあまりにも優しくて拒むことが出来なかった



「山田太一が、いないんだ」

「悟くん…?」

「…名前、呼んで貰うの久し振り」

「…」


しまった、と口を押さえる

呼ばないようにと気を付けてはいたのだが、あまりの驚きに咄嗟に出ていたのだ


「呼んで」


口を押さえていた私の手を退けながら悟くんが優しく言った

だめ、だめ

このままだと確実に流されちゃう


「…いや、呼ばない」


絞り出した言葉に悟くんはやはり切なそうに笑うだけだった
さっきの高専での激情がまるで嘘だったかの様に



「今までごめん、山田太一」


悟くんがポツリと溢す


「山田太一だけだったんだ…俺には。大切で大切で……昔、山田太一が他の男と仲良く話してるの見たことがある…」


いつの事だろうか
考えるが全く心当たりがない

思い出そうとしている私に気付いた悟くんは「思い出せないよ、ただ道聞かれてただけだから」と補足した


「消してやりたいと思ったよ」


途端に危うくなった雰囲気と低くなった声
消すという言葉の信憑性の高さに驚く他なかった


「信頼してる仲間や生徒にそんなこと思うことはないけど…山田太一が俺の知らない奴と俺の知らないことを話してると思うだけで殺してやりたいと思った」


そして俺には、容易にそれが出来る


「だけど流石に怖くなったよ…山田太一にこんな俺を知られるのも、いつかその感情が山田太一に向くのも…。こんなの言い訳だってことも、最低だってことも知ってる、…ーーでも、」


初めて見る
ここまで弱々しい悟くんを







「ずっと知ってたよ」







自分の声が嫌に響いた



悟くんは驚きに目を見開いている





そう、私はーーー




「ずっと知ってた。悟くんが私にどんな感情を持ってるのかも、何を思いながら他の女の人に会いに行くのかも」


悟くんが私のことを抱く頻度は多くない

情緒の最中も優しく、まるで壊れてしまうことを怯えるかの様に抱くのだ


そしてその持て余した激情は徐々に蓄積し
私に懐いている狂気を発散させるかの様に他へと当たり散らす



「前にも言った通りそれでも良いと思ってた…私に満たせないものを他の人で満たすことが出来るなら。だけど私は我が儘で…全部欲しいと思ったの」


そう、悟くんに利用される女の人の事なんて考えもしなかった

私が考えてたのは悟くんと一緒にいることだけ

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- わー!めっちゃすきです! (2021年3月13日 19時) (レス) id: c890e5f159 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 舳さん» 嬉しいっ!!ありがとうございます!(´▽`) (2021年2月25日 19時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しんどい…語彙力失いましたとても好きですありがとうございますヽ(;▽;) (2021年2月24日 19時) (レス) id: 1f83f3c66d (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - かのんさん» かのんさんの欲望の塊を楽しみにしてます((( ・`ω・´)キリッ (2021年2月21日 15時) (レス) id: 27e0c87bdc (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 神無月さん» コメントありがとうございます!これからも欲望のまま書きなぐります!(o≧▽゜)o (2021年2月21日 15時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月17日 8時

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