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「そう言えばもうちょっとで誕生日だよね」
朝の宣言通り早くに帰宅した悟が鍋を頬張りながら言う
悟に出会うまで誕生日を祝って貰ったことがなかった私は余り自分の誕生日に思い入れがない
何の事かと小首を傾げてようやく思い至った
「ホントだね、気付かなかった」
「花子ほんっと毎年それ！」
ぴっと持っていたお箸を私に向ける悟…人を指しちゃいけません
「何か欲しいもんある？」
「欲しいもの……んー」
「んー？」
「あ」
「何なにー？」
「悟」
「ん？」と今度は悟が首をかしげる番だ
しかし立ち直りは思ったより早く
「僕？」
「うん、悟が欲しい」
正確には悟の気持ちが、だが
「…………花子のえっち」
「……ご馳走さまでした」
「うそうそ！冗談だって！！」
どうやら盛大な勘違いをしてくれているらしい
まあ結婚までしておきながら『欲しい』なんて言われればそう思うのも分からなくはないが…
手を合わせ食べ終わった食器をシンクまで運ぶ私を悟が慌てて追い掛けてきて、ぎゅうっと後ろから抱き締めた
「どうしたの？花子あんまりえっち好きそうじゃないのに誘ってきて」
耳元で囁かれゾクッと震え立つ鳥肌を誤魔化すために空いた方の手で悟の額に究極に手加減されたチョップを落とす
「だから違うの！私お風呂は行ってくるから悟はまだゆっくり食べててね」
「なーんだ、残念」
痛くもない額を押さえる悟に「嘘ばっかり」と内心毒づく
望んでいない相手との性行なんて嬉しくもなんともないくせに
いつもいつも私に私ではない誰かを重ねてるくせに
…とは言え私も性行で気持ち良いと思ったことはない
はじめての時は痛みと緊張で必死だったし、今は罪悪感と苦しさばかりでそんなもの感じなければ良さなんて勿論分からない
毎回早く終れと思っている
演技が出来る程器用じゃないため悟もそれには気が付いている…しかし自分が私への愛を示す行為としては必要なのだろう
夫婦としての行為があれば中々子を成せない時の言い訳にはなるし…
シャワーを浴びながら自分の左手の薬指を見た
そこには夫婦であることを示す指輪はどこにもない
いつか贈ると言われたそれは結婚して一年以上経った今でも自由なまま…それは悟なりの抵抗だったのだろうか
「…だめ」
今日はいつにも増して卑屈なことばかり考えてしまう
昔の夢を見たからだろうか
言われなくても分かってるのに
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます！！是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (
レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます！！続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます！ (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります！パスワードを教えて頂きたいです！ (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました！ パスワードを教えていただけないでしょうか？ (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かのん | 作成日時：2021年2月26日 0時
