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膠着状態

まさにそのひと言に尽きるだろう


逃げようとする花子と逃がさまいとする僕



先に折れたのは矢張というか花子の方だった




「逃げません…ですので離して貰えませんか?」

「……うん」


名残惜しげに手を離すと花子は今度は捕まえられないようにと防衛本能からか、反対の手でそれを隠した

今まで花子から拒絶されたことのなかった僕は、そんな些細な様子からもじわりと自分勝手な不快感を浮上させる


分かっている

自分がどんなに虫のいい話しをしているかなんてことは


だけど、改めて向かい合って確信してしまったのだ




僕は、これからも花子に傍にいて欲しい





「…五条さんがどういうつもりで再び共に暮らそうと言ったのか私には皆目検討も尽きません。ですが、お気持ちだけ戴いておきます」

「…どうしてか聞いてもいい?」

「以前もお伝えしました…もう貴方から何も奪うつもりはないと。私ももう充分です」

「この前も言ってたね。僕から奪うって何を?」

「時間と労力です」


淡々とした言葉には何の感情も籠っていなかった
結婚してから拙いながらも漸く出るようになった笑顔なんかも勿論ない


ああ、もう一度あの笑顔が見れるようになるのはいつだろう

漠然と思った



「……もう、放って置いて」



絞り出した声はあの頃の暖かさは微塵もない

ただ無感情に吐き出されただけだった



「お願いだから関わらないで…私はもう充分なの」




硝子は言った

花子はもう僕には何も求めていないと




ーーそんなこと言われなくても分かってるさ




花子はずっと僕からの愛を求めてた

恐らく家族から得られなかった物も相乗し強く、強く

まるで呪いのように


彼女が非術師であったならば、確実に僕は呪われていただろうと思える程に


そしてその反動で張つめたいた糸がプツリと切れたのだ



「逃げようと思います…、少し…疲れたので」





それが花子にとっての逃げ道



「誰にも迷惑かけない…だから、放っておいて…邪魔しないで」


「ごめん、それは…できない」



は、と息を止めた花子が目を見開きこちらを凝視する

瞳の奥には当然かな非難の色がありありと浮かんでいた


「……帰って下さい」

「待って花子」

「貴方の許しなんていらない…っ、筋合いもない!帰って!」

「花子、」

「名前なんか呼ばれたくもない!!」


いつも淡々とした話し方をする花子の初めて聞いた荒い声だった

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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時

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