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教室でユウちゃんと喋って、ときどき来る他のクラスの友達と寄せ書きを書き合う。

しばらくしたらだんだんと人が減ってきて、前半クラスの方に行ってみることにした。


「ほい、頑張れよー」

そう言いながら男の子にアルバムを返す中間先生をB組の前の廊下で見つけて、「私も書いてください」と声を掛ける。


「はーい」

「お願いします」


とんとん、とスペースを指で少し叩いた中間先生がペンをアルバムにつける。


「はい、出来ました」

「ありがとうございます」


『関野のこれからに幸あれ。
You are possible!
中間』


「こうなるともうインポッシブル要素ないですよね」

「ええねん、インポッシブルなことなんてないんやから」

「それはありますよ」

「例えば?」

「……何も使わずに空飛びまーす!とか」

「やろうとせんでええわ」


ふはっ、と笑った中間先生。
そんな話をしていれば後ろからちょうどのんちゃんと藤井くんの話し声が聞こえた。


「おお」と笑ったのんちゃんに、手を振って返す。


「終わった?」

「うん、帰ろ」


教室でのんちゃんが帰る支度をしているのを前の席に座って、ぼーっと待つ。


「望クラス会行く?」

そう言いながら教室の前の方の席から振り返った藤井くん。


「明日やろ?」

「うん」

「たぶん行く」

「たぶんなんや」

「ハハッ、十中八九行く」

「カラオケは?」

「それは絶対行く」


わかった、と頷いた藤井くんが「ほんじゃまたな」っていつもと何も変わらない様子で教室を出て行った。

実際、この二人は卒業してもたくさん会うんだろうけど。


「Aもカラオケ行くん?」

「カラオケ?」

「聞いてへん?」

「たぶん」

「東京組とか九州組とか送る会的な。まあ普通に遊ぶだけやけど」

「サッカー部の集まりじゃないん?」

「そんなことないで、神ちゃんとか来るし」

「そうなんや」

「来いよ、シゲも入ってるから」

「……わかった」


そう言うとのんちゃんが頷いて、後輩からもらったらしい色紙を丁寧にリュックに入れる。


気づけば、二人だけになった教室。


「一回くらい、こんな感じで授業受けたかったな」

静かになった中でぼそっと言ったのんちゃんに、「そうやね」と返した。

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りぃな - 最近花音さんの作品に出会い、いくつか読ませて頂きました。どれも時間を忘れて読み進めてしまうほど面白く、大好きです。制服黒髪小瀧くん、サイコーでした!まっすぐな重岡くんもすごくいい奴で、一年分のキュンキュンを味わった気がします 笑 (2020年10月9日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
らっく。(プロフ) - もう完結してしばらく経ってしまっているので今さらのコメントです…。花音さんの作品、他にもいくつか読ませて頂きましたが、どの作品も描写が丁寧に書かれていて目の前に起こっている出来事のように思えます。「関野のおかげで楽しかった」のコメント狡いな〜っ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 2be3d0728d (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - まろんさん» 読みながら絵が浮かぶものを書けたらいいなと思っていたので、入り込んでくださったなんてすごく嬉しいです。素敵な感想ありがとうございました。これからも楽しんでいただけるようなものを書けるよう頑張ります。 (2017年6月4日 19時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 凄く文字が丁寧で読んでいてスっと入り込めたストーリーでした。私より年下の方がこんなにもいい小説を書いたのだと素晴らしいなって。主人公になって読んでみて入り込み過ぎてしまいました。これからも次回作楽しみにしております (2017年5月13日 15時) (レス) id: c7f87c9170 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - ちかさん» ありがとうございます。学生だからこそ、というような時間を楽しんでいただけたならなによりです。ファンだなんてもったいないお言葉をありがとうございます。彼の番外編は書くつもりなので、またお会いできたら嬉しいです! (2017年4月29日 16時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花音 | 作成日時:2017年3月27日 22時

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