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「いろんなこと、あったけど」

のんちゃんが頭の後ろを掻く。


「というか、いろんなことあったから、今俺Aがほんまに好きって言える」


小さく笑って左目を擦ったのんちゃんと、もう一度視線が絡む。


「…わたしも…」

口を開くと、のんちゃんが「ん?」と少し体を前に倒す。


「私も、のんちゃんが好きです」

「…A、顔上げて」


そう言われてゆっくりと顔を上に向けると、ふわりとのんちゃんの頬が緩んだ。


「俺と付き合ってください」


紡がれた言葉が鼓膜と心を揺らした。


「……はい」


いっぱいいっぱいの状態でなんとか返事をすると、「…良かったぁ」とのんちゃんが笑い声を交えて言う。


「緊張したー…」

左胸を抑えて言うのんちゃん。


「…嘘やん」

「なんで!ほんまやって!」

「…だって私、のんちゃんに好きって言ってたもん」

「前にな」

「……」

「でも変わっててもおかしくないことばっかあったやん」


ふう、と息を吐いたのんちゃんが、じい、っとこちらを見る。
しばらくしてゆっくり右手を伸ばし、私の顔の横の髪の毛を、耳にかけた。

そのまま手が肩の後ろに回って私の右の肩をのんちゃんがくいっと引き寄せる。

目の前の景色が一面のイルミネーションに戻って、両肩にのんちゃんの手が乗った。


「今日、来れて良かった」

「…うん」


のんちゃんの声が近くで響く。


「…長かったな」

その言葉に少し振り返ると「なんか恥ずいから見んといて」とぽん、と頭に手を乗せられる。


「俺最初にA好きになったの小4やで」

「…フフ」

「まあそっからなんだかんだあったけど」

「なんだかんだね」

「ハハッ」


肩にあったのんちゃんの手が前に来て、腕が回る。


「……好きやで」


夢を見ているのかと思うほど。
きらめく光と嘘みたいな言葉。


「……わたしも」


ん、という声と一緒にぎゅう、と強まった腕の力は、決して痛くはないのに私の心臓は痛いほどに脈を打つ。

のんちゃんに聞こえていないか心配になるほどに心臓がドンドン!と大きな音を立てる。

はあ、と落ち着くために吐き出した息は白くて、寒いはずなのに火照った顔には冷気が気持ち良いくらい。


しばらく、何も話さずにただ前を見ていたらのんちゃんがぼつりと


「帰りたくねぇな」


なんて言ったから、胸がいっぱいになって、また涙が出そうになった。


「…そうやね」


ゆっくりと回る腕の力が緩まってまた両肩に乗った手に、くるっと体を回される。

とん、と背中に柵が当たった時、のんちゃんの手がそっと背中に触れた。

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りぃな - 最近花音さんの作品に出会い、いくつか読ませて頂きました。どれも時間を忘れて読み進めてしまうほど面白く、大好きです。制服黒髪小瀧くん、サイコーでした!まっすぐな重岡くんもすごくいい奴で、一年分のキュンキュンを味わった気がします 笑 (2020年10月9日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
らっく。(プロフ) - もう完結してしばらく経ってしまっているので今さらのコメントです…。花音さんの作品、他にもいくつか読ませて頂きましたが、どの作品も描写が丁寧に書かれていて目の前に起こっている出来事のように思えます。「関野のおかげで楽しかった」のコメント狡いな〜っ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 2be3d0728d (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - まろんさん» 読みながら絵が浮かぶものを書けたらいいなと思っていたので、入り込んでくださったなんてすごく嬉しいです。素敵な感想ありがとうございました。これからも楽しんでいただけるようなものを書けるよう頑張ります。 (2017年6月4日 19時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 凄く文字が丁寧で読んでいてスっと入り込めたストーリーでした。私より年下の方がこんなにもいい小説を書いたのだと素晴らしいなって。主人公になって読んでみて入り込み過ぎてしまいました。これからも次回作楽しみにしております (2017年5月13日 15時) (レス) id: c7f87c9170 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - ちかさん» ありがとうございます。学生だからこそ、というような時間を楽しんでいただけたならなによりです。ファンだなんてもったいないお言葉をありがとうございます。彼の番外編は書くつもりなので、またお会いできたら嬉しいです! (2017年4月29日 16時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花音 | 作成日時:2017年3月27日 22時

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