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光のトンネルとか全体で絵が描かれているところとかいろいろなものがあって、ただ光っているだけのはずなのに全然飽きない。


「あの、写真撮ってもらってもいいですか?」

止まって見ていたら、カップルが近づいてきて、男の人に携帯を向けられる。


「あ、はい」

のんちゃんが受け取ると、「横で良いですか?」なんて聞く。


「いきまーす。はい、チーズ」


カシャッ、と音が鳴って「大丈夫ですか?」と確認するのんちゃん。


「大丈夫です、ありがとうございます」


「お願いしてもいいですか?」

のんちゃんがポケットから携帯を出してその人に渡すと、軽く私の背中に手を添えて前に行く。


「はい、チーズ」


横に立つと、のんちゃんの腕が肩に当たる。
それでも動けずにいたらのんちゃんも動かなくて、そのままピースをすると、シャッター音が鳴り響く。

写真を確認し、「ありがとうございました」とお互い頭を下げて別れた。


「送る?」

のんちゃんが携帯から顔を上げ、上目遣いみたいにこちらを見て首をコテンと傾ける。


「うん、送って」

そう言うとLINEを開いて、トーク履歴の一番上にあった私の名前をタップして、写真を送信してくれる。


「はい、どーぞ」

「ありがとう」


いーえ、と笑ったのんちゃんが「上行こうぜ」と指で示す。
一面に施された光の装飾を上から一気に見られる場所。

人の多い階段で少し遅れそうになっていたらポケットから手を出しながらのんちゃんがキョロキョロと左を振り返ってから右に首を回す。


「あ、いた」

「いるで」

「大丈夫?」

「うん」


上る人と下る人で幅が半分になった階段で少し前にいたのんちゃんが横に並ぶ。


上に着き、大きな半円で空間を型どっている柵の前まで歩いていく。


「…すっげ」

「ほんまに。綺麗」


カラフルだった光は上から見るとまとまりがあり、特別な景色をつくる。


柵に手をかけて「つめたっ」と離すと、のんちゃんが「ほんまや、冷たい」と大きな口を開けて前屈みになって笑う。

のんちゃん越しにキラキラが見えて、そのキラキラに照らされるのんちゃんは綺麗で、ぎゅう、と胸が締め付けられて苦しい。


「A」

「なに?」


横を向けば体ごとこっちを向いて柵に肘をついたのんちゃんがコートのポケットからゴソゴソと何かを取り出す。


「はい」

そう言って私の手に袋を乗せたのんちゃん。


「え…」

「あげる」

「いいの?」


軽く二回頷いたのんちゃんが、「メリークリスマス」と鼻をこすりながら言った。

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りぃな - 最近花音さんの作品に出会い、いくつか読ませて頂きました。どれも時間を忘れて読み進めてしまうほど面白く、大好きです。制服黒髪小瀧くん、サイコーでした!まっすぐな重岡くんもすごくいい奴で、一年分のキュンキュンを味わった気がします 笑 (2020年10月9日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
らっく。(プロフ) - もう完結してしばらく経ってしまっているので今さらのコメントです…。花音さんの作品、他にもいくつか読ませて頂きましたが、どの作品も描写が丁寧に書かれていて目の前に起こっている出来事のように思えます。「関野のおかげで楽しかった」のコメント狡いな〜っ (2018年11月29日 2時) (レス) id: 2be3d0728d (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - まろんさん» 読みながら絵が浮かぶものを書けたらいいなと思っていたので、入り込んでくださったなんてすごく嬉しいです。素敵な感想ありがとうございました。これからも楽しんでいただけるようなものを書けるよう頑張ります。 (2017年6月4日 19時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 凄く文字が丁寧で読んでいてスっと入り込めたストーリーでした。私より年下の方がこんなにもいい小説を書いたのだと素晴らしいなって。主人公になって読んでみて入り込み過ぎてしまいました。これからも次回作楽しみにしております (2017年5月13日 15時) (レス) id: c7f87c9170 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - ちかさん» ありがとうございます。学生だからこそ、というような時間を楽しんでいただけたならなによりです。ファンだなんてもったいないお言葉をありがとうございます。彼の番外編は書くつもりなので、またお会いできたら嬉しいです! (2017年4月29日 16時) (レス) id: 819da26d91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花音 | 作成日時:2017年3月27日 22時

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