第36話_______… ページ38
「おっ。なんか考えてる顔だなー。」
いつも通り、大量の花に水やりをしているフジを、
高い城から眺めるのが、俺の日課。
花なんか、虫が集まってくるし、手入れが面倒だ。そんなのの何がいいんだか。
でも時折、青い空を見上げたり、風に揺られた花を嬉しそうに見て微笑んだりするアイツを見て、
こっちも悪い気はしない。
肘をついて、俺もつられて笑ってしまう。
今は、コスモスの花弁を触りながら、ボーっとしている。
「何考えてんだ?」とか、「おっ。笑った!」とか、アイツを眺めて考える。
昔からそうだった。昔から、フジは何を考えているのか分からない奴だった。
そんなアイツを観察するのが、俺の楽しみだった。
俺が初めてアイツに会ったのは、高校に入って半年過ぎた頃。
ガキの頃から好きだったサッカー。
サッカー部に入った俺は、サッカー以外に興味があるものが無かった。
でもある日。
ボールを思いっきり蹴りあげてしまい、グラウンドの外に飛んでいってしまった。
スクールバッグを持った男めがけて、飛んでいった。
「おーい!!危ない!!」
大声を上げて呼びかけるも、考え事でもしているのか、ため息を着いて下を向いている。
えっ…俺の大声に気が付かない奴とかいるのか…
やっとボールに気付いたようだがもう遅く、顔面にボールがぶち当たった。
「うお!?わっりい!!大丈夫か?」
「……………。」
だいぶ痛そうに表情を歪めたソイツは、無言で俺を見た。
黒髪で、少し開けられたYシャツのボタンに、童顔だが、どこか大人っぽい。
第一印象。色気のある優等生っぽい奴。
長袖のYシャツの腕の裾をまくったソイツは、俺めがけて
物凄いスピードでボールを蹴って来た。
ボールを取った瞬間、勢いで風が起こる。
「おーいキヨ!大丈夫かー?」
同じ部活の奴が、2、3人駆け寄って来た。
すると、俺がボールを当てた奴を見て、「げっ。」と声をもらした。
「アイツ、2組のフジじゃん。」
「えっ…お前、アイツのこと知ってんの?」
「は?キヨ、お前、知らなかったのか?」
おう、と頷くと、ソイツらは続けた。
「『高校生とは思えない知能と学力』って、先生とか他の奴らから、一目置かれてる奴だよ。
態度も礼儀もいいし、おまけにあの顔だ。女子からもモテまくってんだよ。
ただ、ちょっと絡みづらいんだよな。アイツ。」
へー。そんなに有名な奴だったのか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1017人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すずみね - 更新がなくなってから影葉さんをずっと忘れられなくてまた来ちゃった...！また影葉さんの作品が見たいです！影葉さんがお元気でいられていることを願います。 (2020年4月21日 18時) (
レス) id: ca293ea056 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - これ、前に読んでからすっごい読みたくなってて、でも作品の名前忘れて見れなかったから見れて嬉しい… (2018年4月8日 7時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
あんず - 逆に作者の窓になるまで「こーすけ」が「ヒラ」って気づかなかった( 。∀ ﾟ) (2018年4月6日 23時) (レス) id: b44d4e70a8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月桜奈(プロフ) - 普通にこのぱーかーのこヒラじゃない？と気づいた笑 (2018年4月3日 0時) (レス) id: a7c0f853f1 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - 兎の時でヒラだって気付いたw (2018年2月3日 3時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：影葉
| 作成日時：2015年10月23日 18時
