110＊Daigo Side ページ17
＊
感情が…コントロールできへん。
冷たい風のなかひたすらに自転車を漕ぐ。
A、気遣ってくれてたんやんな。
わかってんのに、ひどい態度とって、俺なんなん。
でも、あんないじらしい顔で触れられたら気狂いそうになる。
このまま帰りたくなくて、結局、大学に来てしもた。
全然論文書く気もないくせに、研究室のドアを開けると、
「大ちゃんや！わー！顔こわ！」
今日も元気なはっすんが座っていた。
「なぁ、もう叶わへん恋を諦めたい時って、はっすんならどうする」
パソコンの電源を入れてパスワードを入力する。
世間的に見ても、彼女と別れたばっかりで失恋中やし、不自然やないよなこの質問。
「えーー？そりゃもう次の恋するやろ！」
できるかなって思ってんけど、失敗して今に至ってるねんなそれが。
「それができへん場合は？」
「できへんとかあるー？せやなー」
はっすんは手を止めて空中を眺めてる。
「離れる！あのー、あれ！物理的に！距離を置く！」
「…なるほど…な」
離れる…か…
俺が就職したら自ずと会わへんようになるんかな…
さっき手を振り払ってしまった時の、Aの戸惑った顔が蘇って、苦いものが広がる。
「でさー、大ちゃん、それは誰の話をしてんの？」
「俺別れたばっかやん。ちょっとくらい悩んでもよくない？」
「ふーん」
はっすんは、お菓子の袋を開け始めた。
「Aちゃんのことかと思った」
「は？なんでAが出てくんねん」
「大ちゃん、好きなんかなーって思ってんもん」
そんな明るく言われると逆に否定しづらい。
ていうかなんで…
「なんでー？って思ってんの？」
恐ろしいなこいつ。
「学祭ん時も、誰かが買いに来るのずっと待ってるみたいやったし、この前、Aちゃんが研究室来た時もわかりやすすぎ」
「はっすん…この話やめよう」
やばい、ダサい。ダサすぎる。はっすんでよかったとか思ってごめん。
「なんで諦めやなあかんのー？Aちゃん、フリーやろ？」
「いろいろ…あんねん」
「まぁその『いろいろ』のせいにしたら楽やもんなぁ」
グサリと音がしそうなくらい刺さる言葉に、目の前のパソコンみたいに俺はフリーズした。
「待って！俺、なんかめっちゃアドバイスっぽい！」
はっすんは変わらんトーンでにこにこ笑う。
「はいはい。せやな。それ、頂戴」
俺は無理やりはっすんの手から、お菓子の袋をとりあげた。
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Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
