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＊
「…大吾、趣味も合うし、めちゃくちゃかわいいし、すごいええ子やって言うててんけど…」
正門さんが小声で話しかけてくる。
「そうなんですか…」
涼しい顔して、ノロケ全開やん…大吾さん。
「うまくいってなかったん？」
「そういや、なんか少し前に喧嘩してたみたいでしたけど…」
何も教えてくれなかったさみしさなのか、なぜかチクリと胸が痛い。
「そうなんや。俺、変なこと聞いてしもたな」
正門さんは気まずそうに頭をかく。
久しぶりに会ったのに、正門さんと他のカップルについて喋ってるの…なんかすごい違和感だ。
「でも喧嘩の理由も教えてくれないし、大吾さん、あんまりわたしにはそういうの話してくれないんですよね」
「そうなんや。Aちゃん、心配なん？」
正門さんはわたしの顔を覗き込むように首をかしげる。
「わたしの…なんていうか…ピンチの時？いつも助けてくれるから、力になれたらなぁと思うんですけど」
今思えばピンチの時って、大体正門さん関連やなって思って言葉を濁しつつ、なぜかドリンクバーまわりの掃除を始めた大吾さんの背中を眺める。
「わたしは力不足みたいです」
ふと、研究室でわたしを見上げてた大吾さんの顔が浮かんだ。
「ふうん」
なにかを含んだような低い声に、目線を戻すと、正門さんはじっとわたしを見つめている。
「なんか…ついてますか？」
「ううん。元気そうで安心した。Aちゃん」
次の瞬間には、正門さんはにっこり笑ってコーヒーをすすっていた。
「お仕事どうですか？」
「全国ツアー決まってその準備に忙しいねん」
FCの会員メールでお知らせが来てて、いいな、行きたいなって思ってたやつだ。
「そうでしたね！行けないけど頑張ってくださいね」
「今も…きいてくれてんの？俺の曲」
「もちろんじゃないですか！CD買うのなら怒られないし」
自分で傷をえぐりそうになって、あわてて笑顔を貼り付けると、正門さんはまたゆるく微笑んで目を細めた。
「そっか。ありがと。Aちゃんの顔見れてうれしかったわ」
「わたしも…安心しました」
にっこり笑い返すと、正門さんの優しい目尻が下がる。
変わらない正門さんの柔らかい物腰に、ほんとはわたしたち何もなかったんじゃないか、なんていう錯覚に陥りそうになって、
同じこの席で3人で騒ぎながら、彩月さんの名刺を眺めてたあの頃が、また少し恋しくなった。
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Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
