131＊Yoshinori Side ページ38
＊
「大吾のこと、好き？」
こくんと頷いた、いじらしい顔を忘れたくて、いつも以上に飲んでしまった。
体がふらついてる。
「ありがとうございました！」
ペコリと頭を下げて俺たちに背を向けたAちゃんは、突然、人混みから消えた。
…え？大丈夫やろか？
思わず追いかけそうになった瞬間、隣で腰を支えてた大吾の腕がするりと離れる。
大吾は俺の方を見向きもせず、Aちゃんの方へ駆け寄っていった。
俺はその場に立ち尽くしたまま、行き交う人たちがニュースの映像のように流れていく。
こんなふうに流れていく日常の中から、記憶に残った部分を継ぎ合わせて、都合よく運命やと思い込んだのかもしれん。
それくらい、今日、突然目の前に現れたAちゃんに自然に引き寄せられてしまった。
黒い髪、整ったメイク、体のラインがわかってしまいそうなスーツに、背伸びしたみたいなヒール。
思い出とは違った容姿でも一瞬で彼女やってわかった。
時はちゃんと進んでて、
茶色い髪とロングスカートを纏ってふわふわと舞う蝶々みたいな彼女はもうおらん。
でも、心が言うことを聞かずに、もう一度、もう一度と我儘を言って、電話をかけた。
大切にしようと思えば思うほど、空回りしてたくさん傷つけたのに。
その度にきっと大吾は今みたいに駆け寄って、寄り添ってたんやろうか。
俺が彩月さんの腕に縋ったように。
いや、違うかな。Aちゃんはきっと俺ほど弱くない。
…ほんまに？
弱くないんじゃなくて、弱い自分を見せてくれんかったんかもしれへん。
大吾にはあんなに素直に拗ねて、縋って、言い返すんやもんな。
まだ新しいスーツを纏った大吾が、人混みをぬって戻ってきた。
「Aちゃん、大丈夫やった？」
「なんかコケてた。ほんまドジやんなA」
大吾はやれやれとでも言いたげに、くしゃっと笑う。
「正門も大丈夫か？飲みすぎやろ。帰ろか」
「せやな」
次は俺の心配かよ。ほんま忙しいやつやなぁ。
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Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
