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＊
大阪に帰ってきてそのまま、わたしはいつものバイト先に来た。
店内をのぞくともう夕方のピークは越えたみたいだ。
お客さん用の入り口から入ると
「いらっしゃいませ何名様…」
接客スマイルの大吾さんが出てきた。
「A、入り口間違えてんで。寝ぼけてんの？」
「…寝ぼけてないです」
「今日シフト入ってたっけ？」
大吾さんは営業スマイルをしまって、シフト表を思い出すように顔をしかめた。
「さっき、東京行ってきました」
「…いや、そんなコンビニ行ってきました。みたいに言わんといてくれる？」
大吾さんは驚いたような複雑そうな表情で、声のトーンを落とした。
「正門と仲直りできた？」
「はい」
ふっと何かがゆるんで安心したような大吾さん。
「そっか。よかった」
「ファンに戻りました」
「え？」
「お別れしてきました」
大吾さんは、ぽかんと口を開けたまま静止する。
「大吾さんにはお世話になったから言っとかなくちゃと思って。いろいろありがとうございました。じゃ！それだけです！」
改めて言葉にするとやっぱり胸が張り裂けそうで、しくしくと痛い。
「いや、ちょ、待てよ」
背を向けたわたしの腕を大吾さんが掴む。
「正門反省しとったやろ？許せへんのもわかるけど…なんで」
「うまく言えないんですけど…でもちゃんと話しました」
「A、大丈夫なん？」
「あんまり…大丈夫じゃないですけど…」
心底心配そうな顔になんかちょっと申し訳なくなって苦しい。
「でも帰りの新幹線で久しぶりに正門さんの曲、聞けました」
「…」
「報告とお礼だけ直接言おうって思って来たんで帰ります」
大吾さんの手から、手首をそっと抜いて外へ出て歩き出す。
今日もポップな広告が秋の夜風に揺られてる。
「A！」
びっくりして振り返ると、大吾さんが外まで出てきていた。
「大吾さん制服のまま出てきたら怒られますよ。店長に」
わたしよりも泣きそうな顔に茶化すように言うと
「いや、店長おらんから大丈夫」
大吾さんの制服のエプロンがふわりと夜風に揺れた。
「泣かへんねんな…今日は」
「もう泣き疲れました！じゃ！戻らないと怒られますよ」
「だから店長おらんて」
「詩織ちゃんに」
大吾さんは、お店の入り口で不安そうに見つめてる詩織ちゃんを振り返ると、
「なんかあったら連絡しろよアホ」
「アホは余計です！」
くるりと背を向けて戻っていった。
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Bear(プロフ) - 最後に涙腺が崩壊しました。こんなに最高な作品にはしばらく会えなそうです (2021年12月14日 22時) (
レス) @page45 id: 3daf0f2645 (このIDを非表示/違反報告)
むたむた - どんでん返しに泣きました。夜通し読んじゃいました。ステキな作品をありがとうございます！！！ (2021年6月3日 4時) (レス) id: 738b505511 (このIDを非表示/違反報告)
林芽亜里 - 一気に完結まで読み尽してしました！！もう素晴らしすぎて(*´∇｀*)最初は、正門くんとハッピーエンドを迎えると思っていたけど、大吾くんと最終的に結ばれて、思ってもいない展開でビックリしました(^｡^)幸せな時間をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月27日 22時) (レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最高でした！！大好きなまさにしのお話ってだけでも嬉しかったのにこんな素敵なお話、もう最高すぎました！この作品の大ファンになりました！！楽しい時間をありがとう！また書く機会があったら楽しみにしてます！！ありがとうございました！！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: db8a594314 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 初めは正門くんとエンド迎えるんかなって思ってたんですけど最後西畑くんと幸せになっててびっくりとよかったなって涙出ました！！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: ee2a92e956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年5月16日 22時
