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大吾さんはわたしを送り届けると代わりにバイトに行ってくれた。
昨日あの後、髪を乾かして正門さんの服を借りて駅まで送ってもらったのに、
結局こんな風邪をひいてしまって情けない。
布団の中で寝返りをうつと、スマホの着信音。
「正門さん」の表示にスマホを落としそうになりながら耳にあてた。
「もしもし、Aちゃん？」
「はい、もしもし」
「今、学校？あれからちゃんと帰れた？風邪ひいてへん？」
「はい。今は…家…っ…です」
咳をしそうになって押し殺す。
「…Aちゃん…鼻声…風邪？」
「はい…」
「うそ？ごめん！熱は？」
「38度ちょっと…です」
「大丈夫？ほんまごめんなぁ…俺のせいや…」
「いや、わたしの不注意で…」
雨の中に飛び出したのも、無理して大学に行って悪化させたのも紛れも無い自分自身。
「今から行くわ」
「…………え？」
「欲しいもんとかある？」
正門さんの優しい声色が問いかけてくる。
「大丈夫です。ほんとに…」
「待っててすぐ行く」
そんなん彼氏みたいやん…
電話越しのその声にぎゅっと心を掴まれたまま、わたしはスマホを握りしめていた。
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みぃ - N.Dormitory から読んでました！面白かったです！ (2019年9月6日 22時) (
レス) id: 5f0045d6aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年4月7日 21時
