君へのSong (ページ23)

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大吾さんの友人特権なのか、ライブが終わった後、正門さんはわたしたちを楽屋に呼んでくれた。

「おめでとうございました！めちゃくちゃよかったです。泣きそうになりました！」

「ありがとう。ほんまにAちゃんらの応援のおかげやわ」

正門さんは大きな手のひらでわたしの手を包むとぎゅっと握手してくれた。

「大吾もありがと」

「おん」

大吾さんは興味深そうに狭い楽屋を見渡している。

ノックもなしにガチャっと楽屋の扉が開いて、対バンしていた見た目強そうなお兄さんが入ってきた。

「正門ちゃん、打ち上げ参加するやんなー？」

「ありがとうございます、是非」

正門さんが丁寧に頭を下げる。

「おっけー！女の子もいた方が楽しいし、2人もおいで」

お兄さんはわたしと大吾さんの肩をぽんっとたたく。

「あ、いや、Aは未成年なんですいません」

正門さんが優しく私の肩に置かれた手をどける。

「ええやん。ノリ悪いなー。他にも女の子いっぱいくるし」

「すいません。お気遣いいただいて。でもほんまにAちゃんは勘弁してください」

正門さんはまた深く頭を下げた。

「ええやん。新人くんやのに彩月さんの差し金やからってえらそ…」

「行かせてください！」

わたしは精一杯笑顔を貼り付けながら答えた。

正門さんの役に立てるなら何だってする。

「おっけー！じゃ向こうでー！」

お兄さんはすんなり出て行った。

「ごめんな」

正門さんが申し訳なさそうに謝る。

わたしの知らないところでもいろいろ大変なんかもしれん…

「気をつけてな。ええ人らなんやけどちょっとテンション上がってまうと大変やねん」

正門さんの言葉がどういう意味やったんか、平和な大学生活とバイトを行き来していたわたしはよくわかっていなかったんやと思う。