君へのSong (ページ39)

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39＊Daigo Side ページ39

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「大吾さん、それ5番テーブルですよ」

「え、あ、ほんまや、ごめん」

「3番のオーダー通ってますか？」

「いや、まだや。詩織ちゃん頼んでええ？」

さっきから俺にしてはありえへんミスを連発してる。

「大吾さんなんかありました？」

詩織ちゃんが大きい瞳を潤ませながら心配そうに俺を見上げてる。

「いや、ちょっと寝不足なだけ。ごめんごめん」

プライベートを仕事に持ち込むとか最悪やろって自分に喝を入れて営業スマイルを貼り付ける。

バイトを終えて、自転車にまたがるとどっと疲れが襲ってきた。

A、大丈夫やろか…

なんか友達もあんまいなさそうやし、彼氏もおらんし、

西畑熱下がった?なんかいるもんある?

連絡を入れてとりあえずAの家の方向に自転車を漕ぎだす。

コンビニまで来ても既読はついてへんくて、
眠り込んでるんやろか…

てきとうにいりそうなもんを買って、自転車のカゴに放り込む。

一昨日もきたAのアパートの前に自転車を止めて、もう一回スマホを確認する。

未読のまんまやん…

ドアにでもかけとくかと思いながらコンビニの袋を手に取ると、

見覚えのある、黒いバイクが停まってる。

俺はそのまま送信取消のボタンを押した。

知られへんうちに取り消せたらええのに。

俺のこんな気持ちも。

引き返す夜道はもう冬がやってくる前の冷たさが漂っていた。