【銀魂3z】勘弁してくれ沖田君

現実逃避 ページ21

『台風は勢力を増しながら関東に接近しており――――――』


しとしと降りの雨が続く土曜日の夕方。
日曜日の外出は控えた方が良い、日曜日の夜から月曜日の朝にかけてが最も台風が接近する。そういったことを無情なニュースキャスターがどのチャンネルでも繰り返している。

……花火。


「総悟……見てよこのニュース、嘘ばっかつくの……」

「嘘なんて言ってねェとおもいやすし、お前ん家のテレビの音こっちまで流してくんのやめろィ」


総悟の家のドアを開けてうちのテレビの音を大音量で聞かせていると、そう指摘された。


「だってうちのテレビ変なんだもん…」

「変なのはお前の頭だろィ。台風が来てんだ、明日の花火は諦めろィ」

「台風?台風とは何からしら?」

「オイ」

「そよ風と何が違うのかしら?」

「もう本気で気が狂ってやがらァ」


可哀想な子を見る目で見られる。そんな目しなくても!!
それは花火に行けなくなっての『可哀想』じゃないよね!!
頭のおかしいって意味での『可哀想』だよね!?



「でも、台風意外と早いかもしれないし……」

「通り過ぎたらするってか?台風が通ってすぐの河川敷に行くつもりかィ?」

「だって……」

「危ねぇだろ、やめとけ」

「だってぇー……」


せっかく、近藤君や土方君も来てくれるって言ったのに。
みんなで集まれる最後かもしれないのに。なんでこの子こんなに淡白なのかしら。

いじけていると、総悟に大きなため息をつかれた。


「高校生にもなって、花火でいちいちいじけてんな」


――――――なにそれ。

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