†狂ったアナタは王子様†【実.況.者】

____…第46話…____ ページ46

「知ってると思うけど、僕、本当は、泣き虫で役立たずで頭の悪い子供なんだよ。」


自虐!?

子供、かぁ。確かに国王は、自分の本当の年齢が分からないみたいだし、
もしかしたら、頭は良くても、この見た目と性格では、まだ中学生くらいなのかもしれない。


「でも、僕は国王。だからね、完璧っぽく見せたかったんだ。
いつも笑顔で表情は少なく。何を考えているのか分からない奴、って見せたかったんだけど……見えた?」


見えました(即答)

なるほどね。自分を完璧に見せるために、演技をしていたという訳ですか。


すると国王は、サッと両手で顔を隠した。指の隙間から見える頬が、ほんのり赤い気がする。




「でも、僕の演技は、いっつも秘書に邪魔される……」



…え?

待て待て待て。あなたの その「いつも笑顔でいる」作戦を、私が、いつ邪魔した?



「人のせいにしないで下さい……私がいつ邪魔したっていうんですか………」

「秘書のせいだもん……秘書のせいだもん!」


キッと涙目で睨まれる。両手を握りしめて、顔は少し赤い。

えぇ……ていうか、国王って、こんなに表情をコロコロ変える人だったんだ……


いつもの、魔王様みたいな黒い笑顔はどこへ………




「秘書が近くにいると、笑顔でいれない……秘書が話しかけてくる度に、体が強ばる。」



!?

そ、そんな………!!そこまで嫌われていたの!?

私が近くにいるだけで、国王から笑顔が消えていたの…?体が強ばるくらい、私を警戒していたの?



すると、顔を赤くした国王は、怒ったように頬をふくらませた。



「なんなのさ……秘書を見るだけで顔が熱くなるし、
笑っている秘書を見たらニヤニヤしちゃうし、秘書を目で追っちゃうし……自分が本当に気持ち悪いの!!」




…え………?





すると




腕を引かれた





暖かいぬくもりに包まれた。





「もう………訳わかんない……」



ぎゅう、と私の首筋に顔を埋める。熱い吐息がかかり、反応してしまう。

背中に回された両手。この速い心臓の音は、自分の音?あなたの音?


そのまま、心臓の音以外、何も聞こえなかった。いつもは気にしない小鳥の鳴き声が、よく聞こえる。



「秘書って、僕が好きなんでしょ?」

「はい。……はい!?」


心配そうに、顔を林檎みたいに真っ赤にして聞く こくお……国王!?

な、なんで知って……今から告白しようとしていた時に言われた。



「この前のこと、謝ろうとして秘書の部屋に言ったら、その、聞こえちゃって……」

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