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二夜 ページ9

「看守殿、今晩も見廻りか?」


1145が来て二日目の夜。
いつもは私が来ることでからかいの言葉やらが飛んでくる牢獄では、まだ就寝時間間もないというのにほとんどの囚人たちが寝静まっていた。



「どういうこと・・」



困惑がちに声をかけてきた1145の方を見れば、薄い懐中電灯に照らされた髪がサラリと揺れた。



「皆、労働に疲れておるのだろう。ここの連中は生への喜びが薄い」
「貴方は何をしたんですか?」

「何もしてないさ。ただ、少し仲間と共に働いてみせただけだ」



それ以来、1145は机に向かって手元にある光を頼りに本を読み始めた。






「・・どうした、看守殿」


その姿を眺めて立ち去ろうとしない私に、1145は不思議そうな顔を向ける。

私はそんな1145の牢の前に座り込んだ。



「それは・・?」


手元の本を指さして問えば、1145は小さく「む?」と声を上げる。



「これは教科書だ」
「教科書?」
「ああそうだ。読んでみるか?」



こんなこと、ほかの看守に見つかれば大問題。
だけど、そんなことよりも私の好奇心の方が勝ってしまって、牢の隙間から通された教科書と呼ばれた書物をペラリとめくった。

しかし、だ。



「どうした、看守殿」



めくった先には文字、文字、文字。
私は寺子屋に行ったことはなく、この規則的に並ぶ文字の羅列・・平仮名ですら読むことができないのだ。



「読めない、です」
「何!?文字が読めぬのか」



差し出された教科書を牢の隙間から手渡されれば、少し驚いたような1145の顔が近くに見えた。



「寺子屋へは?」
「行っていません」
「うむ・・、そうか」


問われた質問に端的に答えたとき、遠くから足音が聞こえた。



――他の看守だ。



「邪魔してすみません。1145も早く寝て・・」


口早に言いかけた言葉は、彼の言葉によって遮られてしまった。





「ならば、俺が教えてやろう」

痛み→←彼は何者



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ゆり(プロフ) - あれ?終わりですか!?とても面白かったので残念です…。 (2017年5月7日 13時) (レス) id: 16a2a2c0ee (このIDを非表示/違反報告)
蝸牛 - かっこいいです!更新頑張ってください! (2017年1月21日 11時) (レス) id: 9c8917c2ad (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 続き気になります!!更新頑張ってください!!!! (2016年11月9日 6時) (レス) id: a243a73ee4 (このIDを非表示/違反報告)
霧助(プロフ) - かぁつらさん!!イケメンですね!更新頑張ってください! (2016年8月23日 13時) (レス) id: 680443222a (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 紅夜桜さん» コメントと誤字訂正ありがとうございました!がんばります!!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/  
作成日時:2016年6月19日 22時

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