伸びた手のひら ページ12
「単刀直入に聞くが、主はなぜ"犯罪者"などと呼ばれているのだ?」
それは純粋な質問だった。
思わず顔を伏せそうになるものの、1145のまっすぐな瞳に私の姿が映り目が離せなくなった。
人に軽々話せる話などではなかった。
今まで自分からこの話を語ったことはない。すべて噂で広まっていくのだ。
勝手に。
しかし、彼の瞳を見た瞬間、あきらめたのかなんだかはわからないけれど、すとんと現実が受け入れられて抵抗なく言葉を紡ぎだせるような気がした。
「話にくい話ならば無理に話す必要はない」
「いえ、いいんです」
いつの間にか、1145の牢の前に座り込み誰にも気づかれないように明かりを消した。
「私の両親は、大量虐殺犯なんです」
私がまだ、物心ついて間もない頃、私は祖父に預けられその日父と母の帰りがいつもより遅いと感じていたら次の日帰ってきた父と母は血だらけで。
刀には大量の血液が付いていて、すぐに警察に発見された。
なんでも幕僚の幹部を何人も暗殺したらしい。小さい頃の私はわけもわからずその血だらけ両親を見送って、また帰ってくるだろうとそんなことを思っていたら、いつの間にか首だけになった両親が川の土手に野ざらしになっていた。
要するに即死罪だったわけだ。
「そんな両親を持つ私を誰もが怖がり憎しみ、引き取り手なんていなかった。どうするモンかと考えた幕府は、両親たちの罪を償う罰として私をここで働かせることにしたんです」
辛いと思うことは何度もあった。だけど、それは私がそう思ってはいけないこと。
なのに、なぜ――・・
「なに、やってるんですか」
牢から伸びた大きな手のひらが、私の頭を撫でる。
「看守殿は何も悪くない」
「やっぱり貴方、変わってますよっ」
とめどなく溢れてくる涙は、彼の手によって拭い取られた。
「貴方ではない。俺の名は桂だ、桂小太郎だ。看守殿、主の名を教えてくれ」
「私は、私の名前はAAです」
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ゆり(プロフ) - あれ?終わりですか!?とても面白かったので残念です…。 (2017年5月7日 13時) (レス) id: 16a2a2c0ee (このIDを非表示/違反報告)
蝸牛 - かっこいいです!更新頑張ってください! (2017年1月21日 11時) (レス) id: 9c8917c2ad (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 続き気になります!!更新頑張ってください!!!! (2016年11月9日 6時) (レス) id: a243a73ee4 (このIDを非表示/違反報告)
霧助(プロフ) - かぁつらさん!!イケメンですね!更新頑張ってください! (2016年8月23日 13時) (レス) id: 680443222a (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 紅夜桜さん» コメントと誤字訂正ありがとうございました!がんばります!!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/
作成日時:2016年6月19日 22時