【文スト】欲深な少女の怪奇譚 (ページ4)

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とある男の記憶～罰～ページ4

これは罰なのだと思う。

全ての人を救う努力を止め、

人を選別する方法を選んだ自分への罰だと。

死んだ筈なのに、自分は未だここにいる。

誰にも認識されず、声を届ける事も出来ず、触れる事も叶わない。

ただそこにいるだけのモノ。

ある日、一人の少女を見かけた。

公園で遊んでいた少女は急に走りだした。

行く先は一匹の猫の元。

車に気づかず、渡ろうとしていた。

私は無意識に走り出していた。

道路に飛び出し、猫を抱えた少女。

だが、車はもう衝突直前まで迫っていた。

自分はもう死んでいる。今更、車に引かれても何の問題も無い。

少女に追いついた私はその小さな背中を押した＿＿＿＿＿＿＿筈だった。

結果的に少女は死んだ。

車に引かれ、地面に身体を強く打ち付けて。

猫は助かった。少女に守られて。

この時初めて知った。自分は触れる事が出来ない存在だと。

腕は少女の身体をすり抜け、体は車をすり抜けた。

私は一心不乱に走り出した。その場にいるのが耐えられず。

誰もいないところを目指して走り続けた。

これは罰なのだ。「人々を救うため」と偽善を謳い、屍の塔を築いた自分への。