昔の記憶 ページ21
水無月「衛宮、織田作をあそこへ運んでおくれ。」
衛「了解した。君はどうする?」
水無月「……少ししたら、僕も行くよ。」
息を吹き返し、眠る織田を衛宮が担いで館を出て行った。
此処には僕とジイドしかいない。
窓から差し込む夕日が部屋を朱く染め上げる。
ゆっくりと彼に歩み寄る。
水無月「…幸せそうな顔だね。」
思い出すのは数年前。
とある国の戦場に、僕はいた。
水無月『どこもかしこも死体だらけ。酷い話だ。
国を救った英雄を、国が裏切るなんて……。』
破壊され、崩壊寸前の塔の中。
水無月『それで?…君たちはこれからどうするんだい?』
ジ『…新たな戦場を求め、彷徨う。』
そこには数十人の兵士がいた。
皆、その目は絶望していた。
当たり前だよね。信じていたものに裏切られたんだから。
水無月『君たちはもう、休んで良いんだよ。
国の手の届かない、小さな田舎でひっそりと暮らせば良いじゃないか。
君たちは強い。新しい人生を歩むことだって、『無理だ。』……。』
ジ『俺たちは殺すことしかできない。仲間たちは最後まで戦って死んだ。
なら、俺たちも最後まで戦い続けなければ。』
僕の言葉を遮り、彼はそう言って残った仲間と共に、その場を立ち去った。
彼らの意思はもう、何を言っても揺らぐことは無かった。
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作者名:神無月 | 作成日時:2018年7月8日 14時