北山さんとyummy!な関係

＊ ページ21

「ならよかった。あ、なんか飲む？」







なんかあったっけなぁって言いながら

冷蔵庫を開けた彼








「あー、ビールしかねーな笑」







「…ビール飲みたいです！」







今日は嫌なことあったし


旦那のことなんか忘れちゃうぐらい


とことん飲んでやるっ！







「あ、まじ？笑 じゃあ一緒に飲むか」







そう言って彼が私の前にビールを置いた









「あ、そういえば名前なんていうの？」








この人に名前、教えてもいいのかな


悪用とかされたりしない…？





でもどうせこれから会うこともないし


いいかな…






「Aだよ」






って下の名前だけ教えた








「Aね、俺宏光」








「ひろ…みつ」








「そう」






私が名前を呼ぶとそう言って

ふわっと笑った








あ、私この人の笑った顔好きかも



目尻にしわができて、少し幼くなる感じ



そう思いながら宏光の顔に見とれてると








「Aはさ、なんであんな雨の中傘もささずにいたの？」







ス、ストレート…笑

すごいぶっこんでくるなこの人





私の心の声が聞こえたのかのように







「あ、嫌なら言わなくていいよ」






宏光がそう言った







でもこんな全く関わりのない人に

話聞いてもらえたら


少しすっきりするかも





って思ったから







「実はね ––––––」







私が家を飛び出した理由をゆっくり話した








「なるほどねー。まぁ俺も浮気したくなる気持ちもわかるし…男ってそういうとこあるんだよね」








「まったく分からない！」







ビールを飲むペースも旦那への怒りで


自然とはやくなる私







「女の子には分かんないことだよね」








「しかも、あんな涼しい顔で答えるって無神経にもほどがあるでしょっ！罪悪感とかないのかって」








「ふは笑 結構言うね〜」









「なんでこうなるのかなぁ…」








いい感じに酔いも回ってきて


泣きたくなくても涙が出てくる







必死に涙を流すまいと


目に溜めていると








「ん、もうビールおしまい」







って言って私の手からビールの缶を

ひょいって取り上げた宏光







「あ、ちょまだ…」







ビールを取り返そうと手を伸ばすけど


その手を上手くかわして







「だーめ、顔真っ赤じゃん」






そう言って宏光が私を見つめた

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す