＊ ページ36
*
「やきもち、妬いてくれたんだね」
「...そんな可愛いモンじゃない、どろどろの嫉妬ってやつですよ。だから言いたくなかったんです」
「なんで？私は嬉しいよ、なんか新しい京治をみた気分」
「複雑...ふっ、」
「ふふっ」
なんとなくすれ違っていたような互いの想いがやっと合致して、それが少し可笑しくて笑いあった。
「ねぇ京治、ちょっと腕緩めて」
「あ、はい...一体何を、ッ...！」
──ちゅっ
先程よりも少し軽いリップ音が鳴り、Aから赤葦へ口づけが落とされる。
「.........は？」
「え、へへ、なんかしたくなったのと、ちょこっとの仕返し！おやすみ！」
「...予想外すぎるな」
「え、わっ、きゃぁ...？！！」
布団に潜ろうとしていたはずが、一瞬で赤葦に組み敷かれている状態に。
自分の行動がどれだけキケンなものだったか今になって気づき、サーッと青くなるA。
「けけけ京治！ストップ、」
「今さら遅い。俺、我慢してるって話しましたよね」
「い、言ってたね！ごめ、でもここ合宿所だしっ」
「焚き付けたのはあんたです。責任とってくださいね」
「ちょっ、京治、ぁっ──」
意味深な発言の真意をききたかったが、火がついた彼に敵うはずもなく。
明日の自身の腰を頭の隅で案じたAだった。
翌朝。
「痛っ...京治？」
ズキズキと痛む腰を抑えながら起き上がると、隣に彼の姿はなく、温もりだけが残されていた。
「部屋戻ったのか...あれ、鍵...？」
締め出されたと昨夜言っていたような。
まぁいいか、と呟いて布団をしまおうと押し入れへと向かう。
「あいたたた、あれ...？布団ある、なんで？」
押し入れのなかには綺麗に畳まれた布団がもうひとつ。
確かに昨日、赤葦は「ひとつしかない」と言っていたはず。
「どういうこと...？」
一方その頃。
「あれ、赤葦いるじゃん」
「本当だ...起きたら抜け殻でびびったわ」
「ただいま。水買いに行ってそこで寝落ちてた」
「おぉ...相当疲れてたんだな」
「消灯22時だったらしいぜ。俺ら赤葦頼りすぎて全員早く寝てたのやべぇな」
「先輩らがなんかハプニングあったらしいけど、もうその時2年沈没」
「...ハプニング、か」
ほとんど俺が仕組んだ「ハプニング」。
Aさん、そろそろ気づく頃かな。
──だいたい思惑通り、最高の予想外。
どこまでが策略で、どこからが予想外だったのか。
それを知るのは、妖しく笑うこの男だけ。
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作者(プロフ) - 花さん» ありがとうございます。忘れ雪シリーズ中心で書いていこうと思うので、更新遅くはなってしまいますが書かせていただきます！待っててくださると嬉しいです。 (2021年5月22日 13時) (
レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - リクエストよろしいでしょうか?→影山君で股ドンお願いします! (2021年5月22日 11時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 花さん» コメントありがとうございます。嬉しいです(;_;)励みになります！ (2021年5月4日 10時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - とっても好みでした!体調を崩さないように気をつけてくださいね! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - クマさん» お気遣いいただきありがとうございます...(;_;) のろのろになりますが、見守ってくださると嬉しいです。コメントありがとうございました(;_;) (2021年4月18日 15時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2021年1月15日 22時
