87.斬撃 ページ38
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そう気遣うならジニヒョンが行けばいいのにとも思ったけど、まあそこは年長者の言うことを聞いておこう。変なやつにうちのマンネが絡まれるなんて洒落にならん。それに、少しフォローもしてやらなきゃなんねーし。
店の奥にあるトイレに向かって、来た道を戻る。
…あ。そういや、ソジュヌナとユアのやりとりに気を取られて、あのメイクのこと忘れてた。ユアの送別会ということで、均等に話ができるよう何度か席を入れ替えたから、途中でとなりでもなくなってたし。
まあ、最後も部屋には残ってなかったし、さっさと家にでも帰ったんだろ。興味がないところになんて1秒たりとも止まらないはずだ。
あのメイクにとっては興味のない場所かもしれないが、芸能人御用達とも言われるこのお店は、プライベートというものを大事にした作りになっていて、個室がいくつか連なっている。
顔が照らされるのを避けたいのか、照明は個室も、廊下も、少し薄暗い。そんな照明の中、早足にすれ違う客もきっと業界関係者なんだと思う。
これから、きっとこういう雰囲気の店に来ることも増えるんだろうな。業界ならではというものなのか。できれば、弟たちには純粋なままでいてほしい。
そんなことを考えながら、店の廊下を曲がった時だった。
『っ、』
ひゅっと短くまた喉がなった気がした。
ガシッと心臓を直接掴まれたかのようなそんな衝撃が、身体を襲う。驚きなんてそんな可愛いもんじゃない。どくん、どくんと脈打つ血管がはちきれそうだった。
まるで、心臓を鋭い刃で刺されたかのように。心臓に血が集まっていくのがよくわかる。その場に足が縫い付けられたかと思うほど咄嗟に身を隠した曲がり角から、動けなくなっていた。
曲がろうとした廊下のその先。
俺が探していたジョングクは確かにそこにいた。
誰が、想像つくのだろうか。
この前まで、照れて言葉も交わせなかったジョングクが。唇の皮をとるために少し指で触れられだけで戸惑っていたジョングクが。
飢えた獣みたいな目を見せて。
あの、メイクを。
＿＿あの、Aを。
グッとその両手を押さえつけ、黄金比率をたもったそれが、あの、冷たそうなくちびるを食らい尽くそうとしていた。
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さとう(プロフ) - 2年ぶりに覗いたらお話更新されてた…！ (2020年5月31日 2時) (
レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 更新ありがとうございます！面白すぎます。なんで投票一回しかできないんでしょう、、、すでに投票済みになってる。 (2020年5月23日 20時) (レス) id: 42e9c67f6c (このIDを非表示/違反報告)
♪♪♪♪ - すっごいおもしろいです！ 最高です！ (2020年5月22日 9時) (レス) id: 18287f45f1 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅ - どんどん読み進めていくたびに引き込まれていきました、更新楽しみに待っています (2020年5月1日 11時) (レス) id: c991b8fbaa (このIDを非表示/違反報告)
2525(プロフ) - １番好きなお話です！更新すっっごく嬉しいです(T_T) これからも楽しみにしています☆ (2020年4月26日 17時) (レス) id: 58a0df5f9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：穂高
| 作成日時：2016年9月5日 22時
