検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:500 hit

six ページ7

何事もなく授業をして、何事もなく部室に向かう。

今日は音楽がないので、友人とはここでお別れだ。

「じゃ、また明日ね〜。」

「また明日!美術頑張れ!」

手を振って部室に向かう。

「失礼します。」

「あ、先輩!」

奏舞君、早いなぁ。

「絵、見せて?」

「はいっ。」

差し出されたキャンパスを手に取り、じっくり見る。

……やっぱり、とってもいい絵。

うまく言えないけど、想いがこもってるような気がする。

とっても暖かくて、優しくて、可愛らしい。

……想いに可愛らしいって、変かもね。

奏舞君は緊張したようにこちらを見つめている。

「いいと思う。奏舞君は、絵に想いを込めるのが上手。」

「……想い。」

慎重に、言葉を選びながら。

「だから、……感じたことや思ったことをそのまま描く。大丈夫。たとえ誰が何と言おうと、君の絵は素敵。私が保証する。」

奏舞君が何を感じてここに来たのか分からない。

でも、来てくれたからには先輩として、ちゃんとサポートしたい。

「ありがとう、ございます……。」

照れてるのか、奏舞君の顔が赤くなってる。

「……可愛い。」

「!?」

思わずその綺麗な白髪に手を乗せる。

奏舞君は慌てるけど抵抗はしなくて、されるがままになっていた。

「可愛いより、かっこいいがいいのに……。」

「ん?どうかした?」

聞き取れなくて奏舞君に顔を近づけると、奏舞君はさらに真っ赤になる。

「いっ、いえ!それより、皆さん遅くないですか?」

「確かに。」

もうすでに来ていてもおかしくないけど。


「いやぁ、熱々ですね、お二人さん。」

今朝の友人と同じようにニヤニヤして、こっちに来る部員たち。

でも、熱々とは……?

「な、誤解ですよっ。ほら、先輩も何か……!」

「何がどうなってるのか分からないけど、私と奏舞君は話してただけだよ?」

「え〜、いつもそんな距離なの〜?」

からかうような声に疑問を持ちながらも、首を縦に振る。

「そうだよ?」

「ぇ、先輩……?」

奏舞君の驚いた声が聞こえた気もしたけど、それは部員達の歓声でかき消された。


「もう、先輩、何を言ってるんですか……!」

まだ熱が冷めていない顔を向けて、奏舞君は言う。

言葉の割には、怒ってないみたいだけど。

「ごめんね?」

「まぁ、いいですけど……。」

困ったような、少し嬉しそうな奏舞君の声を聞いて頬を緩める。

「奏舞君、可愛い。」

「ありがとうございます……。」

また真っ赤になっちゃった。

seven→←five



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:もう一つの楽園 , 派生作品 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

*柑橘類*@馬鹿同盟(プロフ) - 鈴白らむねのサブさん» あんがと((( (2021年9月6日 11時) (レス) id: dcab7e85b3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴白らむねのサブ - すこ。 (2021年9月5日 12時) (レス) id: 9cd855a560 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*柑橘類* | 作者ホームページ:(・・)←  
作成日時:2021年9月5日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。