映画 ページ9
．
「なあに見てんの」
俺の家のソファーで寝転んでスマホを見てるAちゃん
『ん〜？』
聞いてるのか聞いてないのかわからない返事で、
BGMになってしまっている映画にちらっと目をやると
『あれ、めっちゃ進んでるやん』
と独り言のように言えば、またスマホに視線を戻す。
「ねえ、なに見てんのって」
ソファーを陣取られてしまってるから
ソファーを背もたれに、床に座る。
『んー、ちょっと待って』
相手にしてもらえないので、一時停止してやる
『あ！見てんのに！』
なあ！やめてよ！っと肩を叩いてくるAちゃん。
相手してもらえて少し満足。
「やっとスマホやめた？」
俺の言うことは無視して、早く再生してよ！といまだに肩を叩いてくる。
「えー！相手してくれるんじゃないの！？」
痛いよー！えーん！と泣き真似をしてみれば、
諦めたようで、はいはい、叩くのをやめた。
『ほんで、なんでちゅか、』
ぐいっと上に向かされた顔を、雑に撫で回される。
「ちょっと、やめて！」
笑いながらそう言えば、
『あ、嘘泣きやったやん！』
撫でまわしていた手を止め、ほっぺをむにっと挟まれる
『なんで嘘泣きしたんや！言い訳してみろ！』
「えーん！遊んでくれないからー！」
『ごめんねえ、遊ぼうねえ、映画みようねえ』
また嘘泣きしてみると、面白くなってきたのかノリにのってきて、
俺を挟むように足を下ろしてソファーに座り、頭を撫でられる。
「映画見るなら違うのみたい」
『え、これ見てたのに』
「いいじゃん、どうせ途中から見てなかったでしょ？」
『あったりまえやん』
なんでキラキラ笑顔でえらそうなの？
そう言うときっと機嫌を損ねるから、心に留めておこう、
と思いつつ、お菓子とジュースを用意する。
「では、上映開始です〜」
と、Aちゃんの足を肘置きにして座り直すと、
『高級肘置きスペシャルシートやから、5万円課金せな座られへんで』
「え、詐欺じゃん？」
『じゃあ、どいてよ』
「すみません、電子マネーでもいいですか？」
．
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作者名：わたちちゃんです | 作成日時：2023年10月14日 5時
