太宰さんの妹さんは病弱なようで

35話『本当のお出かけ前』 ページ36

「これもいいねェ」

「こっちもお似合いですわ！」

...私は今、着せ替え人形になっています。

着せ替え人形と言っても髪だけだけど。


数分前__


外に出掛けようとした時に気づいた事が1つ。


私はポートマフィアに所属していて戦場での仕事が多いので裏社会では顔も名も知れている。

オマケに敵には《ポートマフィアの死神》と言われる始末だ。


その私が何も変装せずに外に出て裏社会の者にあったらどうなるだろうか。間違いなく只事ではすまない。


いつも中也お兄ちゃんと出掛ける時は絶対に何かしら変装するが今日は変装道具が何もない。


それを探偵社の皆さんに言うと与謝野さんや先程
探偵社に帰ってきた谷崎さん兄妹の妹のナオミさん鏡花が飛び付いてきた。


そして今に至る。


「Aちゃんは美人なので何でも似合いますわね〜！！」

『あははっ...』

そんな苦笑いしか出来ずに私はされるがままにされていた。

「太宰さん 妹さんって何歳なんですか？」

「Aは16だよ」

「16！？」

敦くんの声が探偵社に響いた。

「てっきり年上かと...」

「Aは職業柄 雰囲気が他の子達と違うから
よく 年上に見られるんだよ。」

『敦くんは何歳なんですか？』


未だに着せ替えされ中。


「僕は...18歳です」

『龍くんよりも年下なんだ...


あっタメでいいですよ。

どちらかと言うと私が敬語を使わなくちゃ行けない立場なんで...』


「僕にもタメでいいよ」


そう言って優しく笑う敦くんの笑顔は

私にとって新鮮に感じた。


マフィアの皆の見せる顔はいつも作られていたから


あっ...中也お兄ちゃんや姐様 龍くんの見せる笑顔は
作られていたものではないか...。

でも、何か違うんだよね...探偵社の皆さんが見せる笑顔は。

「じゃあAちゃん 次は更衣室に行って服を選びましょう！」

ナオミさんが突然 言った言葉に驚く


いや...服までは流石に...

「いいじゃないかA。折角なんだからしてもらいな」

『え？』

「それでは行きましょう！」

あーまた強制的に...。


これでもマフィア...いつ襲ってもおかしくない状態なのに 何で探偵社の皆さんは警戒心もなく優しく接してくれるんだろう。



その事が私にとっては不思議で理解出来なかった。




「ふふっ...Aのあの笑顔 久しぶりに見た」



Aの兄...太宰はとても嬉しそうに更衣室に行く
A達を見ていた。

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