勘違いされたらきりがない。【名探偵コナン】 (ページ26)

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赤信号で車が停車したと同時、聞いたことも無い降谷さんの低い声に、意識してなくても肩が上がる。

引き取られてからと言うもの、降谷さんが怒ったり不機嫌になったりなどの態度や表情を見たことがなかったので、彼の態度は私にとっては突拍子も無さすぎた。

「A」

『は、はい』

「何か変な事はされてませんか？」

『え？されてない、です』

「本当に？」

『本当です。荷物を持っていただいただけで、それ以上は何も……』

降谷さんは私の返答を聞いて、顎に手を当てながら何かを考えていたが、暫くするとため息をついていつもの雰囲気に戻る。

そして私の方を見ると「雰囲気を悪くしてごめんなさい」と眉を下げて謝ってきたので、いえそんな、と慌てて言葉を紡いだ。

……沖矢さんは降谷さんの事を知り合いと言っていたから、てっきり仲が良いものなのかと思っていたけれど。
この反応を見る限り、彼らの間に友好関係は無いらしい。

『(じゃあ何で沖矢さんの家に降谷さんが……？)』

家に訪ねた事があるのに。仲が悪い。

いやもしかして、仲良かった時に行ったとかそう言うやつかもしれない。簡単に考えるのは良くない良くない。

「あぁ、そうだ。明日Aと僕のシフトを替えてもらうよう店長に言っておいたので、休んで貰って大丈夫ですよ」

『態々そんな、』

「今日、言い訳をしてくれたお礼って事で。ね？」

一瞬だけこちらを見てアイドル並のウィンクを決めてくる降谷さん。顔がいいだけあって、かなり様になっている。

私は大人しく頷き、明日は何しようかと今から考えた。