勘違いされたらきりがない。【名探偵コナン】 (ページ25)

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なるべく急ぎ足で公園へ向かうと、馴染み深い公園の雰囲気に似合わない高級車とそれに寄りかかってスマホをいじるスーツ姿のイケメンが入口に構えていた。
まぁそのイケメンとは、言うまでもなく降谷さんなのだけれど。

彼は暫くスマホを眺めていたが徐々に近づく私に気づいたのか、スマホをポケットにしまい車から体を離す。

「お疲れ様です。今日は何も言わずに休んですみません」

『いえ、そんな』

降谷さんがお忙しいのはよく分かっているし、降谷さんのように自分の仕事に誇りを持っている人ほど仕事と言う生きがいは無いだろう。

それで無理をしすぎたら駄目なのだが、流石に彼は自分の限界を知ってるはずなので心配はいらないはず。

外は肌寒いから、と降谷さんから車内に入るように促され、隅々まで高級仕様のシートに身を沈めてシートベルトをかける。
彼は私がそれを終えるまで黙って待ってていてくれた。

夕暮れの街を走り出したあたりで、降谷さんが「今日はどうでした？何か変わったことは？」とミラー越しに私を見て口を開く。

『今日、初めて買い出しに行きました』

「あぁ、すごい量だったでしょう。手が痛かったら後で冷やすなり何なりしますから、言ってください」

『あ、ありがとうございます。でも、大丈夫です。途中でお手伝いをしてくれた方が居て……』

「……お手伝い？お名前は？」

『え？えと、沖矢昴さん、です』

「………あ？」

瞬間、車内の温度が数度下がった気がした。