人生とは甘美である。Jun.M (ページ22)

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朝。

たった数日で恒例のようになっている、カフェに寄りコーヒーで目を覚ましてから仕事に向かった。

昨日に続いて今日もオフィスはバタバタしていた。

そして……

その日の夕方。

「園田さん、15分後に社長室行ってくれる？」

と飯島さんに声をかけられた。

そして社長室と言われたことが瞬時に理解できなかった。

「えっ、社長室…ですか？」

「うん、あれ？言わなかったっけ？
ウチは入社した人は必ず社長と常務に挨拶行ってもらうんだよ。
ほら、常務にはしてもらったけど、昨日まで社長ボストン行ってたからいなかったじゃん？
それで昨日帰ってこられて。
だから、ご挨拶行ってきてほしいんだけど。
まぁ常務の時と同じような感じだと思ってくれれば大丈夫だよ」
とニッコリ微笑んだ。

「分かりました…」

「社長室分かる？
案内してたのは16階までだけどその1個上の17階。
着いたらすぐ秘書の人のデスクがあるから、そこで挨拶に来た主を伝えてくれたら取り次いでくれると思うから」

「…はい、わかりました」

そうだった。

その時はサラッと流していたけど、そういえばそんなこと言われていた。

どうしよう。

また松本さんに会う。

そう思っただけで、膝がガクガク震えた。

指先がまるで氷で冷やしているかのように冷たくなってきた。

向かう前にお手洗いの鏡で軽く身だしなみを整える。
大丈夫なはず…。