人生とは甘美である。Jun.M (ページ21)

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「……っ！！」

その時稲妻が走ったかの様だった。

今この瞬間、また金縛りにあった。

その後のことはあまり良く覚えていない。

いつも通り仕事を終えたけれど、まるであの目と言葉が麻薬のように私をずっと飲み込んだままだった。

後になってふと考えた。

また、なんてあるのかな。

ここにいつ来るかも分からないのに。

でも一つだけ言えるとしたら、もう二度と今日のような、自分が自分じゃないような体験はしたくない。

だけど。

でも。

……本当はわかっていた。

その思いとは反するように。

身体が疼くようなビリっとした痺れが私の中をしばらくの間駆け抜けていたことを…。

自分の身体じゃなくなったような、急に頭と身体がバラバラになった気がした。

なんで？そんなことを考えても答えなんて見つからない。

あれだけ美しい人に出会ったことがないから、……なのだろうか。

本当に恐ろしく綺麗だった。

どうせ、「また」の言葉は、きっと……社交辞令だろう。

そう頭では理解しているのに。

思っているのに。

その日は仕事が終わってからも、

家に着いてからも、

松本さんが頭から離れず、ほとんど眠りにつけないまま翌日を迎えた。