治くんの彼女。【HQ】 (ページ9)

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「宣戦布告や」

部活が終わった頃、体育館の壁にもたれて座る侑が怖い顔をしながら独り言を言った。

尾「またなんか1人で言うとるわ」

角「そうっすね」

1人でイライラしている侑を見兼ねた尾白が声を掛けた。

尾「何があったかは知らんけどあんまイライラすんのやめときや」

尾白のことをじっと見た侑が勢いよく立ち上がって声を上げた。

侑「だって首にキスマやぞ？！『俺のもんや』ってか？！誰やねん出てこいや！！勝負や！！」

尾「何やねんお前」

急に声を上げた侑に驚く尾白の隣で、スポドリを飲み終えた治がぼそっと呟いた。

治「...勝負ついとるやろ」

侑「あ？！なんか言うたかサム！！」

治「...。」

治にムッとした侑が背後に気配を感じ、イラつきながら振り向いた。

北「今日は一段と騒がしいなあ」

北と目が合った侑が「ひっ」と驚いた。

北「恋愛したらあかんとは言わへんけど、もうすぐ春高始まるんやから今はそっちに集中するべきちゃうか。終わってからなんぼでもしたらええやん」

侑が目を泳がせながら北の話を聞く。

北「特にお前は気分によって左右されやすいねんから。今日も顔に出すぎや」

北が話す事が図星すぎる侑が弁解するが直ぐに正論パンチが飛んだ。

北の話はトス練習する治にも響いていた。

Aと付き合っていることを隠しているのも、全ては春高のため。今まで積み上げてきたものを、空気を壊すわけにはいかない。

治(言うて俺もAに左右されやすいから気をつけやなな...)

北の説教が終わった侑が気に食わない顔をしながらまた壁にもたれて座る。

尾「まぁ今はバレーが恋人ってことやな」

尾白がフォローに入るが侑の不機嫌顔は直らなかった。