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「失礼します」
放課後、部活の顧問に呼ばれたAが職員室を覗いた。
「おー水木、こっちこっち」
Aに気付いた顧問が椅子に座りながら手招きした。
「はいこれ」
顧問が机の上に『稲荷崎高校 写真部』と書かれたカードケースを置いた。
A「...？」
「あ、ちょっと待ってな。ストラップ赤と黒どっちにする？俺的には黒がオススメ✩」
ニコッと笑った顧問が2本のストラップを手に取ってAに選ばせる。
A「え、ちょっと待ってください。なんですかこれ」
︰
︰
カードケースを握りしめたAが部室を勢いよく開けた。
「あ、Aちゃんお疲れ〜♡」
おさげ頭の部長がにっこりと微笑んで手を振った。
A「ちょっと部長これどういうことですか！」
Aがカードケースを机の上に置くと、部長が不思議そうな顔をした。
「どういうことって...春高に向けて頑張るバレー部の専属カメラマンの証やんっ♪」
A「そんなん聞いてないですって」
Aが部長に詰め寄ると、部長はムフフと微笑んだ。
「だって先に言うたらやらへんって言うやろ〜？」
図星をつかれたAを気にすることもなく、部長が言葉を続ける。
「この前新聞部からバレー部の特集組むからちょっとの期間だけ専属欲しいってお願いされてんけど、良い機会やと思って私が顧問に推薦しといてん♪ほら、Aちゃん前のコンクールで賞取っとるしさ、それに私はAちゃんの才能に期待してるねん！」
部長がAの手を握り、キラキラとした眼差しを向ける。
「もうほんまに私Aちゃんの撮る写真大好きやねん！私の性癖にクリーンヒットや！」
早口で熱弁する部長に圧倒されたAが冷や汗を垂らすと、部長がAの首にストラップを掛けた。
「ってことで早速バレー部に挨拶行こか♪」
A「えぇっ？！」
Aを気にすることも無くルンルン気分の部長がAの手を取って走り出す。
「Aちゃん、ちょっとここで待っててな。私先に北くんに挨拶してくるわ♪」
体育館前で立ち止まった部長が勢いよく扉を開けた。
「たのもー♪」
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作者名：かなめ/ | 作成日時：2020年4月13日 17時
