【BEASTARS】気づいたら人類は私だけでした２【トリップ】 (ページ6)

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人間本位　※微シリアスページ6

ビースターがこの男だったなんて。言われてみれば、裏市の壁にもヤフヤの名前がよく書かれていたかも。同時に壁に書かれていた「ヤフヤ食い殺してやる」の文字が私の頭に思い起こされる。

裏市で憎まれる存在。彼がこの草食獣至上主義の社会を作った張本人。
彼にはすでに私が肉を食べたことを知られている。食肉を嫌う彼が私をこの先どうするかなんて、考えなくても分かる。私は手のひらにジワリと汗が滲んだのを感じた。

「まず、最初の質問だ。…君は肉食と草食どちらだ。」
「どちらでも…ありません。というより、どちらでもあります。」

私の回答にヤフヤさんの表情が訝しげに歪む。

「では、君の両親は？」
「両親も同じです。が、ここにはいません。」

あくまでも嘘はつかず、確信をつくようなことは言わない。

「ここ、とは？」
流石ビースター、鋭いところを突いてくる。
「今私がいる場所です。」

具体的なことを言えばボロを出してしまう。でもいくら私が注意しても彼は賢い。だから、きっと今の言葉である一つの仮定を立てるだろう。

「君は、人間か？」

この質問はもはや確信にちかい憶測。ここで否定すれば彼を、警察を敵に回すことになる。けど、肯定しても脅威とみなされて敵対してしまえば元も子もない。希有種として保護される可能性もあるけど、その保証はない。…でも私は賭けに出る‼

「はい。私は、人間です。」

「やはりそうか。被毛はないのに鱗もないその姿、肉食と草食どちらともつかない匂い。そしてなにより食肉に対する罪悪感を一切感じなかった。どうしてだ。」

「…私にもどうしてか分かりません。私もさっきのヤフヤさんの言葉で気づかされたんです。私、食べた物が食卓に並ぶ前のことについて考えたことない、って。それって命を軽んじているのかな、って。…私だって…分からない…。」

この言葉に嘘はない。全部私の本音だ。これを聞いてなおヤフヤさんが私は悪だというならその時はあのクマのように裁きを受けよう。

「…君のこれからの一存についてだが、」

拳を強く握る。

「君の存在はトップシークレットだ。…もう手遅れだがな。君にはほかの一般獣と同じ生活をしてもらい、人間ではなく一般獣として社会に溶け込んで混んでもらう。」

え。私殺されないの？軟禁もされない？またゴウヒンさんのもとで暮らせる？

「ただし、今回のような仕事はせずに学校に通うこと。場所は…チェリートン学園だ。」

チェリートンって…レゴシ君の！