正義のウマの言い分 ※微シリアス ページ5
「まったくもって生ぬるい。流石、このような無謀なことをする若者の希望的観測だ。」
さっきまでの紳士的で穏やかな空気から一転しウマは冷たく私を笑った。
「種族の壁を越えた社会を作りたい、大変結構だ。しかしね、何度肉食獣を救おうが彼らはすぐにまた肉を食う。表社会では草食と仲良くしながらね。だから、食肉を犯した獣たちを片っ端から裁いていくんだよ。食肉を犯せば殺されるという恐怖がないと食肉はこの世界から消えない。」
ウマは淡々と冷酷な瞳で倒れたクマを見下ろしながら続ける。
「先ほどはああ言ったが、君は肉食でないながらに肉を食べたことがあるね?でも、君は食肉に関して当事者ではなく、第三者として話しているように聞こえる。」
その言葉で気づかされた。私この世界に来てすっかり変った気でいたけど、ずっと人間本位の考えのままだったのか。
私は悔しくて下唇をかんだ。
「君は異質だ。少し一緒に来てもらおう、話を聞きたい。そこのオオカミ君はこの子の帰りは心配いらないと親御さんに伝えておいてくれ。私が送り届ける。」
「いや、ちょっと待ってください。誰かも知らないあなたにAちゃんを連れて行かせるなんてできません。ゴウヒンさんだって…そんな勝手は許さないはずです。」
レゴシはウマをじっと睨む。
「…じゃあ、そのゴウヒンさんとやらにこう伝えてくれ。この子はヤフヤが預かる、とね。それで納得するはずだ。」
「は、ちょっと待っ」
そう伝えるが早く、ウマはレゴシ君の制止も聞かず私の膝裏を抱え横抱きにして走ってしまった。
どこに連れていかれるかは知らないが、私はさっきの言葉のショックで呆然としていた。すると、ウマはそっと私の瞼を撫でて、「いまは休むといい。」と囁いた。
私の意識が途切れた。
次に目を覚まし見えたのは、コンクリートでできた天井だった。頭を懸命に働かせようとしていると、ウマが視界に顔のぞかせた。
「起きたか。君にはたくさん聞きたいことがあるからね。ここはセンター街にある警察庁本部の最上階だ。」
それを聞いて私はハッとする。警察庁だって?警察とビースター?に見つからないように裏市にいたのに、ここが警察庁本部だとするとこのウマは警察の獣なの?
「まずは自己紹介からだな。私はヤフヤ。姿は初めて見るとしても聞いたことくらいはあるだろう、ビースターだ。」
それを聞いて私はまたハッとする。この男がビースター!?
人間本位 ※微シリアス→←人間で非力だけど…私は! ※微シリアス
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桜庭 - 続きはどうなりますか...! (8月3日 0時) (レス) @page23 id: b68e6ffcf4 (このIDを非表示/違反報告)
tsukishi773(プロフ) - くっ続きが見たいぃ" (2022年11月7日 9時) (レス) @page23 id: e89636a396 (このIDを非表示/違反報告)
レイカ - レゴシとの絡みに拝むばかりです… (2021年12月19日 2時) (レス) id: c7f724abcf (このIDを非表示/違反報告)
七瀬臨也(プロフ) - とても素敵な作品で続きが気になります( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ ) (2021年12月3日 1時) (レス) @page23 id: a0135bf0ac (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 続き楽しみにしてますー! (2021年11月7日 17時) (レス) @page23 id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きの | 作成日時:2020年3月23日 10時