失礼な羊?…入部前に少しばかり不安が(2回目) ページ20
何だろうと思い、そちらに顔を向けてみると大きな角を持ったきれいな羊?かな。男の子が立っていた。
その男の子は私にさらに近づき、顔をまじまじと見ると静かに笑った。私の顔の何がそんなにおかしかったんだろうと、少し怪訝に思うと彼はそのきれいな唇を動かして言った。
「ふふ、平凡な顔。」
「は?」
まさかの言葉に私も周りも固まってしまっている。
いや確かにあなたの奇麗な顔面には到底及ばないけども初対面の相手に向かって言うかな、普通。
ていうかここ十何年生きてきてブスだと笑われるならまだしも普通過ぎて笑われることなんて初めての体験なんだが。
「おい、ピナ!おマエ、一年なんだから少し顔がいいからって調子乗るなよ!」
「その学年序列ばっか優先したがるの、ほんと遅れてますよ先輩。」
おーおー言うなあ、ピナ君とやら。私だけかと思ったらビルに対してもこの態度らしい。こんなのが先輩なのは辛いとは思うがやっぱりビルも先輩だからほどほどにするべきじゃ…?そんな風に思ってこれから喧嘩に発展しないよう願っていると奥の部屋から誰か出てきた。
「おいビル、ウチの次期花形役者に怪我はさせないでくれよ。ピナ、君もだ。不必要に部員を煽るな。」
言い合いを止めたのはルイさんだった。食堂の時といい、ルイさんはこの学園で一目置かれた存在なんだな。そんな相手に色々言った私に心の中で拍手を贈る。
「君は入部するんだったな。こっちで説明と各チームの長との顔合わせをするから来てくれ。」
有無を言わせない雰囲気で二人を止めたかと思ったら急に話かけられて肩が揺れる。が、早く来いと言いたげな目に急いで足を動かした。
「…と、部内はこんな感じだ。何か質問は?無ければチームの振り分けについてだが…」
「私、美術チームがいいです。」
「…何故だ。普通大体の者は役者かダンスに行きたがる。君が美術を選んだ理由は?」
「レゴシ君と一緒がいいからです。」
正直に答えた私にルイさんが怪訝そうに眉を顰めたけど、私も譲らず彼から目を離さない。
私たちの間に流れるただならぬ雰囲気に美術チームのドームさん?が間に割って入る。
「ま、まあ!美術チームを最初から指名してくれるなんて嬉しいわ!ほらもう決まったようなものだしルイちゃんもいいわよね?さ!仕事を教えるから来て来て‼」
部屋から連れ出され彼の後を付いていくと彼はさっきの緊張感はどこへやら、くすっと上品に笑った。
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桜庭 - 続きはどうなりますか...! (8月3日 0時) (レス) @page23 id: b68e6ffcf4 (このIDを非表示/違反報告)
tsukishi773(プロフ) - くっ続きが見たいぃ" (2022年11月7日 9時) (レス) @page23 id: e89636a396 (このIDを非表示/違反報告)
レイカ - レゴシとの絡みに拝むばかりです… (2021年12月19日 2時) (レス) id: c7f724abcf (このIDを非表示/違反報告)
七瀬臨也(プロフ) - とても素敵な作品で続きが気になります( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ ) (2021年12月3日 1時) (レス) @page23 id: a0135bf0ac (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 続き楽しみにしてますー! (2021年11月7日 17時) (レス) @page23 id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きの | 作成日時:2020年3月23日 10時