50 ページ3
「ぇ、震天雷?」
「いいか?普通の砲弾は着弾しても爆発するわけじゃない。
その点、この震天雷は時限信管が付いていて、砲弾その物が爆発するんだ。これなら一発で堤を破ることができる。」
「でも、こんなでっかい砲弾、ユリ子には入りませんよ。」
「ちゃんと用意してある。」
仙蔵がそういった時、長次がばさり、とかぶせてあった物をとった。
そこにはユリ子と比べ物にならないほど大きな大砲だった。
名付けて、ヒュウ砲のヒュウちゃん。
よく運んできましたね、と驚く一年は組に長次が言う。
「用具委員が、必死に運んできた。」
吹雪はそこで留三郎が凄いげっそりした顔をしていたなぁ〜と思い出した。
そこからオープニングの替え歌で石火矢の打ち方を歌っていた。
仙蔵がノリノリで少し驚いたが、分かりやすい、と吹雪は感じていた。
「いつまでやってんだ。」
と長次には珍しく大きめの声を出した。
「もし石火矢の発射に失敗すれば、震天雷が砲の中で爆発してしまう。慎重に…」
長次が念に念を押して、注意した。低学年は後ろに下がるように指示する。
ゴクリとつばを飲んだ虎若。彼もよほど緊張しているようだった。
「虎若、落ち着け。」
「吹雪先輩ッ…」
「そんなに緊張はするな。肩に力が入っている。
落ち着いて、集中して、呼吸を整える。」
「はい…!」
良い感じに肩の力を抜けた虎若。
ゆっくりと後ずさるように吹雪は離れ、長次の隣に立った。
「少し念が大きすぎだな、長次。」
「だが、実際にあぶない…」
「まぁ、そうだが、後輩を信じてやることも大切だぞ。」
そう吹雪が言うと同時に震天雷が高く打ち上がり、狙い通りに堤に直撃して爆破が起きた。水が一気に流れ込む。
撃たれた砲弾は虎若の狙い通りに地面にのめり込み跳ねなくなりやがて止まった。
59人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねう。(プロフ) - とっても面白かったです!一気読みさせてもらいました。主様また占ツクに戻ってくることがありましたら…更新いつまでも待ってます! (2022年12月18日 1時) (レス) @page8 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - 凜さん» 返事が遅くなりすみません!読んでいただいてありがとうございます!最近は更新がものすごくスローでして…このようなものであれば、読んでいただけると幸いです。 (2017年8月18日 22時) (レス) id: 1626c1b1aa (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 全部見させていただきました!続き楽しみです!頑張ってください! (2017年8月10日 4時) (レス) id: b0ea0966a6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 奏多さん» はい!楽しみにしてます! これから夢主と伊作くんがどんな風になるか期待・・・♪(( これからもファンとして読ませていただきます! (2017年7月18日 22時) (レス) id: 9ac6925e6d (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - 桜もちさん» ありがとうございます!前作から読んで頂いて嬉しいです!6は制覇しよう、と意気込んでおります!更新が最近はまばらですが、見ていてくれたら嬉しいです! (2017年7月18日 22時) (レス) id: 1626c1b1aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏多 | 作成日時:2017年7月15日 13時