四十七 ページ47
「たっ助けてっ……！」
その声の方を見ると、神ちゃんが浅瀬で溺れていた。
あんな浅瀬で溺れる！？
距離的には俺が神ちゃんに一番近い所にいる。
「神ちゃん！今行く！」
助けなきゃ！
体はすぐに動いた。
「神ちゃん、大丈夫か！」
そう言って神ちゃんの後ろから両脇に腕を通して助け出したのは�陲舛磴鵑世辰拭�
神ちゃんは�陲舛磴鵑砲�ゅーっと抱きついている。
余程怖かったんだろう。
「もう大丈夫やからな。一旦上がろ。」
照史も浅瀬近くまですっ飛んで来た。
�陲舛磴鵑半隼砲妨�を抱かれながらシートの所に戻って行く。
良かった。
ホッとして周りを見渡すと、浜辺までの距離が縮んでいない事に気づく。
波に流されて、自分で思っていたよりも進んでいなかったのか。
同じ場所でずっとバタ足していたのかと思うと情けなくなった。
その時、誰かの手がポンと俺の肩に乗る。
「淳太……気持ちはわかるけど、慣れない事はせんほうがええで。」
「頑張って泳いでたん見たし！」
しげとのんちゃんのフォローも、今の俺には虚しいだけだ。
俺も誰かを助けられるような存在になりたい。
初めてそんな事を思った。
「神ちゃん、そんな不貞腐れんといてや〜。」
「そうや。今日はたまたまやって！」
二列目にいるしげが照史と一緒に真ん中にいる神ちゃんを元気づけてる。
浅瀬で溺れたのがよっぽどショックだったんだろう。
車に乗ってからはずっとこの調子だ。
三列目の流星とのんちゃんは既に寝ているみたいで静かや。
だけど急に静かになったから後ろを見てみると全員寝ている。
可愛いな。
「淳太、あのさ。」
その声に目線を運転席に戻す。
�陲舛磴鵑録新�な表情でハンドルを握っている。
「今日、神ちゃんが溺れた時に一番に気づいてくれてありがとう。」
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作者名：かんた | 作成日時：2020年4月30日 23時
