四 ページ4
「足元気ぃつけや〜。」
�霤沈菁擇�皆に声をかける。
俺は今、有名な滝に来ている。
サークルのメンバーに加入した今日は、親睦を深める為にパワースポットに行くことになったのだ。
活動の一環としてパワースポット巡りは結構な頻度で行っているらしい。
そんな話を神山先輩が律儀に教えてくれる。
とその時、中間先輩が足を滑らせた。
「うわっ！！！」
「……セーフ。」
�霤沈菁擇�ギリギリのところで中間先輩の手をひっぱり、転ぶのを阻止した。
中間先輩は中性的な見た目だから、そうやってると恋人同士のように見えてくる。
「淳太、何やってんねん！あっひゃっひゃ！」
「怪我ない？」
重岡先輩は中間先輩を一ミリも心配していない。
しかし桐山先輩はこれでもかというくらい心配しているのが表情でわかる。
そのやり取りを後ろから微笑みながら見ていた神山先輩に、聞きたかった事を聞いてみた。
「そういえば、何で先輩らはタメ口なんですか？」
「淳太ら四回生からのルールやねん。気ぃ使わんでいいようにやって。」
神山先輩が微笑みながら教えてくれる。
すると誰かが俺の後ろから首だけヌッと出してきた。
「だからタメ口でいいで。"望"。」
そう言った藤井先輩に神山先輩も同意する。
一人で上京してきて、不安だった。
二人の言葉に心が温かくなるのを感じる。
仲間に入れてもらえた感じがした。
「わかった！よろしく流星！神ちゃん！」
そう言うと、二人は嬉しそうに微笑んだ。
気づけば滝の上流に到着していた。
思い思いに写真を撮ったり、ボーっとしたり、話をしたりして過ごしている。
「神ちゃん、聞こえる。」
急に流星が真剣な表情で言う。
キョロキョロと周りを見渡した神ちゃんは、ある一点を見つめて叫んだ。
「見えた。あっちや。しげ！こっち来て！来る！」
何のこっちゃわからない俺は、とりあえず二人が見ている方向を見てみる。
……何もない。
そうこうしているうちにしげが合流した。
四回生の三人は写真を撮りに別の場所に行ってしまったみたいだ。
「小瀧！危ない！」
しげにそう言われて、もう一度さっき神ちゃんが見ていたところを見ると、血まみれの女性が俺目掛けて走って来ていた。
あれは、霊？
凄い形相で俺目掛けて走ってくる。
走ってくると言ったが、両脚はなく浮いた状態だ。
初めて霊を見た恐怖から、動く事はおろか声さえ出せない。
絶対絶命とはこの事か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かんた | 作成日時：2020年4月30日 23時
