陰陽五行説 (ページ28)

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二十八ページ28

「この花の名前知ってる？」

皆の元へ向かう途中、淳太が口を開く。

照史もわからないようだ。

俺と同じように首を横に振る。

「水仙。花言葉は”もう一度愛してほしい”。あの女性、恋人に未練があって悪霊になってもうたんやろな。」

少しだけ悲しそうに微笑んだ。

その言葉を聞いて先ほどの出来事を思い出す。

首を絞められてしまうと息を飲んだ瞬間、女性は膝から崩れ落ちた。

淳太の手元には短刀のようなものがあり、それで腹部を貫いたのだ。

金の能力で作ったんだろう。

この女性が悪霊だと最初からわかっていたようで、冷めた目で女性を見ていた淳太の顔が忘れられない。

淳太が何かを呟くと、女性はビクリと反応してそのまま動こうとはしなかった。

そしてその間に花を五本摘み取り、俺たちと合流したのだ。

「俺、淳太君の事心配し過ぎてたわ。」

俺も頷く。

「同じ能力者やもんな。信じなあかん。下に見ているような事してもうてごめん。」

そう言って頭を下げた。

淳太は目を丸くしている。

「頭上げてや。俺の方こそごめん。皆も不安やのにあんなにビビってもうて……。そら心配するよな。心配してくれてありがとうな。」

照史は顔を上げたが泣きそうな顔をしている。

「そんなんで泣くなや！(笑)」

「淳太くーん。(泣)」

二人に笑顔が戻る。

無事に達成できて良かった。

拝殿に着くと、そこには淳太の家の家紋が入った黄色の手鏡が落ちていた。

淳太はそれを拾い上げ、白虎に報告する。

すると黄色の光に包まれ、手のひらには黄色で描かれた白虎の姿が描かれた。

試練クリアだ。