父の声 ページ38
[…………起きなさいA。今は眠りについてはならない。彼らを救わなければ──────]
意識が朦朧とする中、目を開いたオレは目の前にうっすらと光り輝く粒子があるのを見た。
その光は懐かしかった。
同時に、嗚咽するような悲しさと恨みも感じた。
冷えた床に大粒の涙がこぼれて、力の抜けていく手がゆっくりと光の方へのばされた。
『あ………なたは…………マレウスさんの………父親で……茨の谷の………皇太子だ』
[………………ああ。そう"だった"な]
『………なら………どう、して……オレの父さんにあんな事をさせた!?あなたのせいで父さんは………オルグイユ家の人々は……殺されたっていうのに…………』
[その事については後悔している…………]
皇太子の声はひどく穏やかだった。
『ッ………今あなたの身体がどうなってるのか知らないけど、オレが生まれてから間もない頃は生きていたんだろ……なら助けてくれればよかったのに……』
[事実を言えば、助けに行ったが間に合わなかった…………]
『………』
父さんの記憶を見たけどそれが全てではない。
オレがみたのは"父さん"の記憶で、皇太子の記憶は全く知らない。
実父･母が殺された原因をつくったこの男への恨みと、自分を今守ってくれたことで、複雑な感情が心に生まれる。
そうだ。
この感情はどこかで感じたことがある。
『……………そうだ……』
この感情は──────────
レオナさんがオバブロした時、
オレに近づいた目的を話した時に感じた感情。
｢お前に近づいたのは、マレウスをこの大会で負かしてやるためだ。利用してやるためだ｣ と。
その時は目頭が熱くなった。
それは彼の本音なのか負の感情が生み出した言葉なのか……。ただ、レオナさんの口からその言葉が出た時には泣きそうになったことを覚えてる。
『………最後に、聞きたいことがあるんだ』
片膝をついて起き上がった。
少しズキリとする心臓の痛みに耐えながら。
『父さんはあなたが死ぬ前に何か言ってたのか』
[………私が死ぬ前に、か…………]
彼は考えているようだった。
記憶を遡って、オレの父の事を思い出していた。
[そうだ………お前の父は私に……いや……もしかするとA、お前に言ったのかもしれない]
『オレに……?』
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小鉄 - 私昨日から小説書かせていただいてるんですがきっかけが主さんなんです！ずっと憧れでしたまだまだ上手に書けていませんが主さんを励みに頑張ります！ (2022年12月10日 15時) (
レス) id: 15ea1c6ed3 (このIDを非表示/違反報告)
めろ(プロフ) - 暇人さん» ありがとうございます😭 (2022年2月17日 23時) (レス) id: 75feb1bede (このIDを非表示/違反報告)
暇人(プロフ) - やばい好きすぎる (2022年2月16日 16時) (レス) @page32 id: 56c105e887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金木犀 | 作成日時：2021年11月6日 16時
