素敵な夢と一夜のお話【wrw/rd!】 (ページ7)

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ご主人様はいつも〈gr〉ページ7

私はA。ご主人グルッペンと同居している。
勿論ご主人、と呼ぶだけあって私はご主人に育てられてきた。小さい頃から。雨が降ってとても寒かった日にご飯も家も無く文字通り死にそうな状態で倒れていたらご主人は私を見つけるなり走って駆け寄って自分のコートを私に被せてくれた。
私は彼の家に居候させて貰ったのだ。そこから沢山愛情を込めて育ててもらった。あの頃とは見違えるほど身長も伸びたし。少し太った気もしなくもないけれど、多分それは昔が痩せ過ぎていただけだと思う。
私はご主人の布団を引っペがした。もう朝、お日様が登っている。最近は秋だから少し遅いけれど、多分ご主人はまだ会社に間に合うだろう。ご主人は眠そうに目をこすりながら時計を見る。その後私の頭をぽんぽんと撫でると、そのままきっちんに向かった。
私がソファーに座っているとご主人がご飯を持ってくる。朝ごはんだ。私の名前を呼んだご主人にちゃんと返事をして机に向かう。彼は少し急ぎ目に食パンを頬張って急ぎでスーツを着ると鞄を持って、私に挨拶をして家を出ていく。
今日も会社と、またお仲間さんと遊ぶらしい。いつも楽しそうだから、きっと楽しいことをしているんだ。
私はその時には邪魔になるから別の部屋で大人しくしている。さて、今日は何をしよう？ゲームもいいけど、先に寝てしまうのもいい。むしろ今から何をしよう、適当に遊ぶものでも出しておこうかな？休日はご主人が遊んでくれるからいいけれど、平日は暇で暇で仕方ない。だから今日は少し街に飛び出しみることにしたご主人は危ないと言うけれど、少しくらい大丈夫！

結局泥がついた体をしっかりと洗われるハメになったけれど。

私の体は順調に弱ってきていた。最近は元気に走り回ることだって出来ないし、目が覚めたらご主人は出掛けていたりする。ご主人は心配そうに病院につれていってくれたけれど、仕方の無いことなんだ。
ご主人が可愛い女の子と一緒に居たのも知っている。きっと私は二人の邪魔になるから、もしかしたら丁度いいのかもしれない。
ご主人はとても悲しそうだ。悲しそうだけれど、そろそろ。私に向けた愛情を、他の人に向けるべき。

私が伸ばした手は、ご主人の暖かい手に包まれて、いつもの家の中で私はそっと、息を引き取った。
ご主人は変わらないけれど、私は変わってしまったから。

人間と犬じゃ、寿命が違いすぎてしまったから。