[HQ] 硝子を傷つけないため [短編集]

綺麗過ぎた故に [牛島若利] ページ21

「このドレス可愛いなあ…」





今日は結婚式のためのドレスを選びに来ている

白いウェディングドレスを選び終え、カラードレスを選んでいく


若利は、私がどれを着ても「とても綺麗だ」と頷いてくれる








「カラードレスって、たくさんあって迷っちゃいますよね〜」

「本当に迷います…笑」

「せっかく旦那様もお付き添いでございますし、自由にご覧になられて下さい〜！」






担当の人はそう言って私と若利の邪魔にならないように、と少し離れてくれた







「ほんと迷う‥」

「そうだな、俺もお前が着るものなら全て綺麗だと思える」






これ本当に決めれるのかな！？






「若利さ、強いて言うならこれ着てほしいなとか無い？」

「ああ、そうだな」



「さっきから気になっていたんだが、これはどうだ？」








若利が指したのは淡い紫と白で構成された

息を呑むような本当に美しいドレスだった


そして同時に、少し懐かしい気がした




　





「可愛い……よく見つけたね、こんな綺麗なの」








「何故かこれを見ると、俺とお前が出会った白鳥沢を思い出すんだ」









そうだ、白鳥沢は紫を基調にしたジャージだったり

何かと紫多かったな…




私はこのドレスを心底気にいった








「すみません、あの淡い紫のドレス試着して良いですか？」

「承知致しました、では試着室へどうぞ〜！」









「A、とても綺麗だ」

「ありがと」








しかし、若利はなんとなく不安そうな顔をしていた







「…どした？」


「これはAの生涯に一度のドレスなんだ

俺の意見で決めてしまって、本当に後悔は無いか不安だ」



「そんなのある訳ないでしょ、私がこれが良いの」



「……そうか、安心した」








若利は一気に安堵した顔になり

ずっと私の姿を見つめていた









_____


「ふぁ〜、ただいま」

「A、疲れているみたいだな」

「まーね、ドレス何着も試着すると疲れるわ……」






ピロン







「若利、携帯鳴ったよー」

「おう、わかった」







私は若利の携帯がふと目に入った




ちょっとまった









ロック画面、私のドレス姿になってる

い、いつの間に…………









そして着信の正体は









[天童] [Aちゃんのドレス姿かわいー！良い奥さんもらったネ！！」









…………もしやLINEで送ったな？

恥ずかしいんだか、嬉しいんだか。

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