デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ10)

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第四話悪気なく傷付けちゃう増田先輩② ページ10

…え、、まさか同じワンピース……□□ちゃんも？

「どこで買ったのー？」

「増田さんのお客さんのファッションビルなんです♡ね？増田さん！」

「あ…あぁ。」

「増田さんが持ってた○○ビル特集の冊子に載ってて可愛いなーって思って…２色あったからどっちが良いか迷ってたんですけど、増田さんのオススメの方にしました～♪」

信じられない内容の会話が、私の身体をさらに硬直させる。

う、、そ…増田さん、□□ちゃんがこのワンピース買うこと知ってたんだ…

それなのに何で私に勧めたんだろう…？

私は逃げるように、さっき降りたばかりのエレベーターに再び乗り込んだ。

とてもこんな格好でオフィスに入っていくことなんて出来ない。

可愛いワンピースなんて着たところで、私は私。

□□ちゃんと同じワンピースなんて着たら、いよいよ差が歴然としすぎて死にたくなるじゃんか。

あーあ、かわいそうなワンピース。

せっかくこんなに可愛いのにね。

あなただって私じゃなくて、□□ちゃんに着てもらいたかったよね。

ごめんね私で…

…なんて、思考はどんどんマイナスの方向へ。

自分でもネガティブすぎて笑っちゃう。

エレベーターを降りるとスマホを取り出し、『出勤途中で体調が悪くなったため、今日は在宅勤務させていただきます。』と社内のメンバーに連絡を入れた。

『…ふぅ。』

メッセージの送信ボタンと同時にため息が漏れる。

今まで増田さんは、口では意地悪なことも言うけど本当は優しくて、良い人だと思ってた。

デリカシーのない人だとは思ってたけど、本気でバカにされてるわけじゃないって信じてた…けど、、、

大好きだった増田さんへの不信感が膨れ上がり、今の今まで浮かれていた気持ちは、面白いくらいにみるみる真っ暗になって萎んでいく。

……バッカみたい、私…

何こんなワンピース着て、ウキウキしてたんだろう。

………帰ろう。